【電材流通新聞主催】 第25回東京地区電設業界工・製・販座談会

〈テーマ〉 東京地区における電設業界の現状と展望

(1)現状の市場動向について
・令和元年度前半における電設市場について
・電設市場の今後の需要予測

(2)工・販業界の事業展開(両組合代表)
・電気工事業界(令和元年度事業計画について)
・電設資材卸業界(令和元年度事業計画について)

(3)各メーカーの新製品開発動向
・LED照明
・インターホン(BEMSを含む)
・4K・8K放送
・ZEH・HEMS関連(住宅用分電盤・畜電池・太陽光など)
・EV充電器

(4)電設資材卸業界・電気工事業界の将来展望
・都工組青年部、東電材東青会の取り組み
・働き方改革、女性の活用
・IoT、AIなど需要の創造

(5)組合組織の充実化(会勢の拡大)
・アウトサイダーの加入促進

(6)その他

出席者
東京都電気工事工業組合
天野 春夫氏(理事長)
井出 榮一氏(理事・常任相談役)
新實  晃氏(副理事長)
岩田 和敏氏(副理事長)
唐沢 俊一氏(副理事長)
後藤  正氏(常務理事)
西野 英雄氏(常務理事)
岡部 一彦氏(常務理事)
菅  正則氏(専務理事・事務局長)

東京電設資材卸業協同組合
小島 寿之氏(理事長)
加賀谷哲男氏(相談役)
神山 欣也氏(副理事長)
川上 康孝氏(副理事長)
横森 英俊氏(副理事長)
菅野 貞夫氏(副理事長)
石川  一氏(専務理事)
皆川 一志氏(市場活性委員長)
山平 正純氏(事務局長)

メーカー
パナソニック(株)ライフソリューションズ社
平岡  勇氏(首都圏電材営業部部長)
東芝ライテック(株)
大矢  明氏(東日本支店首都圏電材営業部部長)
山森 嘉貴氏(東日本企画部首都圏企画担当グループ長)
三菱電機住環境システムズ(株)
宮森 敦士氏(東京支社営業本部電材支店長)
三菱電機照明(株)
津瀬 保彦氏(専務取締役営業本部長)
岩崎電気(株)
山田 智彦氏(上席執行役員国内営業本部長)
矢田慎一郎氏(国内営業本部部長)
オーデリック(株)
土屋  勝氏(取締役営業副本部長)
川辺  勲氏(首都圏第2営業部統括ゼネラルマネーシャー)
大光電機(株)
森   聡氏(執行役員首都圏営業部部長)
名和 慶絋氏(東京第一営業所所長)
コイズミ照明(株)
上原 正人氏(取締役首都圏営業統括部長)
(株)遠藤照明
鍛冶谷栄司氏(常務執行役員営業本部副本部長兼東京支店長)
金田 聡人氏(東京支店東京営業課課長)
アイホン(株)
宮尾 宏行氏(東京支店東京営業所所長)
日東工業(株)
酒井  浩氏(執行役員首都圏営業部長)
細井大二郎氏(東京第一営業所所長)
河村電器産業(株)
瀬川 伸樹氏(特機グループグループ長)
近藤 智也氏(東京支店東京第2営業所所長)
マスプロ電工(株)
堀  義章氏(関東統括東京支店長)
DXアンテナ(株)
古田 義一氏(東京第2支店支店長代理)


令和元年度の動きと今後の需要予測

――最初に、現状の動向について伺いたいと思います。都工組の天野理事長からお願いします。
天野 都工組の状況としましては、私は2期目に入っているのですが、前期から見ると、非常に良くなったと言えます。 東京電力さんとの協業という形を含めまして、さまざまな新規事業を始めています。その影響が少しでも組合員に出てくれば良いなと思っています。ただ、東京電力さんも入札という形で、価格の安い所が受注するという状況となっています。異業種からの参入も増えてきて、競争も激化してきていますが、そのなかで、品質や安全性の確保という観点から我々を選択してくださるところもあります。
また、来年からは法的分離による発送電分離が行われます。東京電力さんのパワーグリッドさんとエナジーパートナーさんについて、我々がどのように対応していくのかが課題となっています。
それから、組合員の減少に対する取り組みについては、特別委員会を立ち上げまして、組合員にどのようなアプローチをかけていくか、考えていきます。

――東京都の電気工事業界の景況については。
天野 都心部については活況ということで、人手が足りないような状況です。ただ、西部に行けば行くほど、厳しくなっています。

――井出さんはいかがですか。
井出 私どもの会社のことを申し上げますが、リニューアルや改修工事をメインにしておりますので、定期的に仕事があり、それほど落ち込んではいません。

――新實さんはいかがですか。
新實 私どもの地区本部には住宅電気工事センターという組織があります。そこでは、従来は東京電力さんからの仕事が多かったのですが、最近はそれが少なくなってきました。ただ、一般住宅などの小規模な仕事は出てきております。仕事が重なる時はお互いに融通し合う形でやっております。
私どもの支部には、大手の組合員さんがあまりおりませんので、どちらかと言えば、小規模以下の会社が多いところです。昨年と比べると、仕事の量が多くなってきていますので、先ほど申し上げましたように、融通し合いながら仕事をこなしています。

――どのような仕事が増えているのですか。
新實 私どもは渋谷地区本部なのですが、渋谷駅前の再開発はオリンピック後も継続します。これは大手さんが中心の仕事になりますが、それにともなって近隣の開発も小規模ながら入ってきていますので、少しは好況が続くと見ています。私が住んでいる地区においても、大きなマンションが建ってきていますので、兆しは比較的明るいのではないかと思います。

――岩田さん、お願いします。
岩田 私は事業部についてお話します。事業部というのは、東京電力さんの仕事が主になります。東京電力パワーグリッド(PG)さんと東京電力エナジーパートナー(EP)さんという、東京電力さんのなかの2つの会社と仕事をしております。
このうち、PGさんについては、理事長が先ほど申し上げました通り、入札によって競争が激化しており、受注がむずかしくなってきております。
一方で、EPさんというのは、小売販売ということで、私どもとしてはガスを売るお手伝いをしています。電気工事会館の5階に事務所を設けまして、事業を展開していますが、事業部としては収益率がいちばん高い仕事となっています。
それから、私の会社の話になりますが、来年のオリンピックを見据えて、半分ぐらいの仕事をホテル事業に特化しています。ホテルの案件はまだまだあります。現在でも4件ほどの設計をしていますし、来年、再来年まではると思います。ですので、弊社としては、若干人手が足りなくなっているような状況です。

――唐沢さんはいかがですか。
唐沢 現在、LED化が進んでいまして、私どもの相手先の学校や役所が総LED化を進めています。それから、調布支部の周辺には、オリンピックの近代五種が行われる武蔵野の森総合スポーツプラザがある関係で、地元の市はこぞって、幹線道路をLED化しようという話があります。ですから、現在のところ、急ピッチで作業が進められています。その一方で、オリンピック後の反動が少し心配の種ではあります。
それから、私どもは通信も手掛けていますので、4K8Kには大変興味を持っております。ただ、実際の需要家さんのなかには、4Kを理解していないことが現実としてあります。
例えば、マンションのリニューアルの際に、4Kが見られるように改修してほしいというご要望をいただいても、実際には対応する工事ができないという古いマンションもあります。量販店さんでは、4K対応テレビというものを販売していますが、チューナーが入っていないという状況もあります。
私どもとしては、4KとLEDを注視していますが、この辺についてもうちょっと対策をとってもらえれば、電気工事業界も弱電部門が伸びていくのではないかと考えています。
今日はインターホンのメーカーさんも出席されています。大規模な集合住宅用のインターホンは非常に優れていると思います。リニューアルも簡単にできる構造になっています。こうした新しい需要にしっかりと付いて行って、需要を増やしていきたいと考えています。

――後藤さんお願いします。
後藤 私どもの方は会社もそんなに大きくないものですから、民間ですと、事務所やビルなどはOAフロアに替えると同時に床下の配線やLED化、空調も一体でやってしまおうという工事をよくやっています。
やはり、事務所の移転などがある時に、そういったものを一切合切やっていこうと考えているお客様が結構増えてきています。LAN配線を利用する形で、情報系のケーブルと一緒に流しているというのが現状です。
役所などは、唐沢さんと同じように学校関係です。私どもは豊島・文京地区なのですが、小中学校の教室の改修にともなうLED化ですとか、黒板も新しいホワイトボードでデータを出せるようなものに取り替えるといった工事をやっています。
そういったことで、いまは仕事も結構ありまして、逆に人手がちょっと足りなくなってきています。いまは、学校の2期工事が多くて、3期工事ぐらいまではあるのかなと思っていますが、その後が見えないというのが現状です。

――西野さんはいかがですか。
西野 景気という点では、皆さんがおっしゃった通り、わが社も含めて、周りの皆さんも忙しいと言っておりますので、良いのだろうと思います。私の会社でも従業員が遠くまで出張したりして仕事をしています。
そんななかで、先ほどのお話にも出ましたように、東京電力さんが分社化によって、新たに電気の販売ということに乗り出されました。当然ながら、私たちもそれに合わせて営業をしていくということで協力しました。ただ、東京電力さんは過去に営業をしたことがないせいか、あまり上手ではありません。
ここにいらっしゃる製・販の皆さんは、営業に対してものすごく心を砕き、力を注いで頑張っておられます。自由競争というのはこういうものだということを東京電力さんに教えていただきたい。東京電力さんを愛するがゆえに苦言を呈しましたが、ぜひ、皆様方にも協力していただきたいと思います。

――岡部さんお願いします。
岡部 父の代から立川で電気屋をやっていますので、立川の現状を申し上げます。7月から8月にかけてLEDの入札が出ましたが、取った金額は全部3割引というひどい状態で動いています。立川市の街灯1万2千灯をリース会社さんが受注しまして、私の地域の電業協会のなかで各社が分け合って仕事をするのですが、これもかなり低い価格で受注したそうです。
立川地域にはかなり仕事があるとは言っても、お手伝いが多いというのが現状です。立川市内で不動産会社がビルを7つほど作ったのですが、その仕事を地元の会社が受注したという話は聞いていません。結構大きい事業で、来年の3月に全部出来上がるのですが、その事業になかなか参加できないというのが立川の現状です。オリンピックが終わった後が心配になります。

――菅さん、事務局としてはいかがですか。
 2年前の座談会の時にも少し申し上げたのですが、その時の組合が置かれている状況というのは、実は最悪でした。
私どもは、東京電力さんの方からスマートメーターの取替工事を請け負いまして、3年半の契約でやってきました。この事業が想定をはるかに超える大変なもので、2年前は最悪の時でした。組合がどうなるのかという状況で苦しんだのですが、この契約が今年の3月20日に終了しまして、いまは少しほっとしているところです。
東京電力さんの完全分社化が来年4月から行われるなかで、電気の申し込みがインターネットでの申し込みだけになります。いまはファックスでの申し込みができますが、インターネットだけになると、組合員さんのなかには申し込みができない方が出てきます。ですので、いまは東京電力さんの子会社と提携をして、代行申請業務をやり始めました。こうした業務を通して、組合員の減少に歯止めをかけていきたいと考えています。

――そういったことに対する研修会は開催しているのですか。
 研修会はもちろんやっています。各地区本部の事務局もお手伝いするということで、取り組み始めたところです。