【電材流通新聞主催】 第25回東京地区電設業界工・製・販座談会

――パナソニック ライフソリューションズ社の平岡さん、工事業界、卸業界から話がありましたが、メーカー側からお話しください。前半の動きと需要予測なども含めてお願いします。
平岡 我々パナソニックの電材部門、とくに東京地域については、先ほどから皆様がお話の通り、国内中心に対前年という言い方で言いますと、前年を伸長できています。
私どもは広範囲の商材を扱っていますが、比較的まんべんなく伸長しています。ですので、しっかり何が良いのかということを、これからも検討してやっていきたいと思います。
東京オリンピック、または消費増税などの影響があると思いますが、どのくらいなのかは、つかめていないのが現状です。そのため下期を迎えるにあたり、しっかりとその辺を見ながら進めていこうと考えています。
先ほど、山平事務局長のお話がありましたように、商品については、納期面でご迷惑をお掛けしているB材商品等もありますので、世のなかで起きている状況を私どもの工場にも伝えながら、ジャストインタイムで、工事業者の皆様に商品をお届けできるように努めていかなくてはならないと思っています。
今後下期、来年以降についてですが、見えにくい部分もありますが、東京オリンピック後も非住宅といわれる部分については、大規模な再開発などもありますので、それに付随する工事であるとか、老朽化したオフィスビルのリニューアル、または、インバウンドの需要などをしっかり取り込むことで、非住宅向けの市場については、横ばい以上で推移していくのではないかと考えています。
反面、住宅については、新築の着工件数が目減りしていくことが想定されます。今年度については、95万戸ほどではないか予測しています。
リフォーム需要に対して、どのような商品をどのように提案していくかということで何とかやっていきたいと思います。

――東芝ライテックの大矢さん、お願いします。
大矢 当社としては第1四半期の実績は、全国で見るとバラツキはありますが、とくに東京地区の電材部門においては、前年を何とか超えている状況です。
ただ、大型物件を扱っている電設部門は、この大型建築需要増大等により、前年比約150%と大きく伸長しています。これは東京地区だけのことです。
先日、役所に水銀灯の販売がなくなるのでLEDへの置換提案に行きましたが、水銀灯については、しばらくはメタルハライドランプで代替えしていくと言われてしまいました。
確かに水銀ランプ、HIDのHFランプは販売を終了しますが、業界としてメタルハライドランプは、いままで通り継続します。
リニューアルについてはただの取り替えだけの提案でなく、付加価値のある商品の提案や、補助金やESCO事業およびリースなどを絡めていかないと、リニューアル市場の開拓は、スピードをもって進めて行けないのではないかと、不安を感じました。
今後は、リニューアル市場は大きく拡大すると予想されていますので、各社様それぞれ商品開発を含めてリニューアル市場にどう対処していくのかが、ひとつの課題であると思っています。
弊社としても新築需要はもちろんのこと、リニューアル需要にもより一層力を注ぎ、これからの成長戦略の大きな柱として、これから進めていきたいと考えています。
後半の需要については、引き合い自体は、現状を含めてマンション案件のリニューアルが非常に盛んにきております。先月も消費増税の影響による駆け込みなのか、マンションのちょっとしたリニューアルの仕事が入ってきております。
おそらく消費増税が10月に行われると思いますが、それまでは、このような小規模なリニューアルが増えてくるのではないかと思っています。

――では、三菱電機住環境システムズの宮森さん、お願いします。
宮森 いまの現状ですが第1四半期の4月から6月まではかなり高伸長で着地をしました。その背景には学校の空調は案件の受注がかなり伸びたことがあります。また、エコキュートや温水器のリニューアルがかなり伸びているということも背景にあります。
今年後半の7月から9月についてはかなり苦戦をしております。その要因ですが、昨年ルームエアコンが猛暑でかなり伸びましたが、今年は梅雨明けが遅くなったということがあるのかと思います。
消費増税前の駆け込みについてですが、現状として7月から9月までは、苦戦しているように見えますが、10月の大きなものが前倒しという話が多く来ていますので、その辺が埋まってくれば前年並みで、今期は着地するのではないかと考えています。

――三菱電機照明の津瀬さん、いかがでしょうか。
津瀬 いずれにしてもマーケットの主戦場はリニューアルです。照明器具の場合は低い建物でも、エレベーターなどとは違い仕事があります。リニューアルの仕事をどのように取るかですが、待っていたら来ません。そこを工・販・製で役割を分担して、いかに潜在需要を顕在化するかということに話は尽きるのではないかと思います。
私は長く空調業界にいて、その後電材業界に来てまだ5~6年でフレッシュに感じるのですが、電気工事店様、電材卸業者様は、商品の懐が深いと思います。商材をたくさんお持ちで、空調業界とは少し違うと思います。リニューアル提案というのは、お施主様に近づいていくことが大事な商売ですが、その際には提案する商材がたくさんないといけないと思います。
例えば、お施主様の所に行って空調設備はいかがでしょうかと言っても、お施主様から空調はもう買いましたと言われたらそこでおしまいですので、効率が悪いと思います。
その点、たくさんの商材を懐に持っている電材業界はやはり強いと思います。工・製・販という貴重なつながりをいかに利用するかという時期に来ていると思います。
照明のマーケットに関しては、いまリニューアルの需要がたくさんあります。今年後半も見通しは暗くはないと考えています。

――岩崎電気の山田さん、お話下さい。
山田 弊社に関しては、東京地区を見た場合、電材関連では第1四半期は、前年からの伸びは余りありませんでした。弊社の場合限られた商材ということもあるかもしれません。一方で、オリンピック需要に関しては直接需要というより 間接需要として、例えば東京都では景観関係などです。ここが牽引をしています。
電材関係で期待している工場・倉庫また駐車場などの分野ですが、ここは4月、5月、6月はあまり良くないのですが、7月にアップしてきました。8月、9月にどのように推移するかを注視していきたいと思います。
売上げがあまり落ちなかった原因のひとつとしては、従来のHIDの製品、とくに水銀灯関係が予測をしていたよりも落ちていないということがあります。水銀のリニューアル提案に関してはまさに工・製・販で一緒になってやっていきたいと思います。こうしたなか、どうしてだろうかと思うことがあるのですが、水銀灯の安定器がまだ売れております。ここに来てランプがなくなるのに水銀灯の安定器が売れています。メタルハライドに替えることはできるのですが。
工業会でポスターを作ってPRしていますが、まだ、一般の方に行き渡っていないのではないかと思います。これについては、三位一体での啓蒙、普及をしていかなくてならないと思います。
後半に関しては、オリンピックに関連して伸びる部分はあると思いますが、HID水銀ランプの事業が終わるということを提案していくことが、後半の需要を喚起することに繋がっていくと考えています。オリンピックがあるのでそれなりの仕事があると思いますが、2020年の後半がひとつの鍵になるかと考えています。

――大光電機の森さんいかがでしょうか。
 私どもの第1四半期ですが、全社的にも東京地区だけ見ても、前年よりも回復しています。
私どもは大きく分けて住宅と店舗施設の売り上げが半々くらいあります。その内、現在業績を引っ張っているのは店舗施設の方です。その店舗施設分野で好調なのはホテルです。これが全体のなかで押上げの要因となっております。一方、住宅の方は苦戦を強いられるだろうという予測のなかでいまのところ大健闘をしております。住宅に関して弊社は、女性社員が営業職としており、細かい営業活動を展開し、これが落ち込みを最小限しているのではないかと考えています。全体でも同じような形で、第1四半期および7月まで見ても好調で推移しています。
下期に関しては、いまの状況では住宅は厳しいので頑張ってきたいと考えています。店舗施設は同じようにいまの流れで推移していくのではないかと思います。

――コイズミ照明の上原さん、お願いします。
上原 私どもとしては住宅が60%以上占めていますが、工業会データにありますように、住宅の方は金額ベースで若干落ちています。そのため私どももウェートの高い住宅の影響もあり、若干苦戦をしています。一方、非住宅の方はウェートが低いのですが、こちらは2ケタ伸びています。私どもは住宅のコイズミと言われる部分を脱却して、非住宅分野にシフトするために、早急に事業の変革をしなくてはならないと考えています。
地域で言いますと、なぜか西高東低で西のほうが業績も良く、東のほうは多少苦戦をしています。首都圏につきましても、いままでずっと伸びてきていますが、今年に限っては若干厳しい状況です。
新築住宅に関しては、消費増税前の駆込み需要が若干あったと聞いていますが、その影響もありまだ堅調です。ただ、残念ながら私どもがお世話になっている貸家関係の方で諸々問題があり、そちらの方は2ケタ以上の落ち込みとなっています。
それから、少し遠ざかっている家電量販の事業も若干下がっています。ここについては、関連会社の小泉成器が軸足をおいています。
家電量販などを補うべくホテルなどに力を入れています。とくに新築のホテルというよりも、コンバージョン型のホテルを狙っています。
いま世のなかは法律の変化が市場を大きく変えています。例えば水銀灯の置き換えについては工・販・製が一体となり、言い続けていかないとまだ知らない人がたくさんいます。その認識を変えて行かなくてはならないと思います。後半においても、いまと同じような状況が続くのではないかと思います。