――オーデリックの土屋さん、いかがでしょうか。
土屋 令和元年の前半ですが、10月の消費増税を控えて6月中旬は若干の盛り上がりが感じられました。この駆け込み需要がプラスになる見通しです。ただし前回の増税のような極端な駆け込みは期待できません。全国のトータルでややプラスになると思います。東京はややプラスになると思います。
消費増税がなければ住宅および非住宅共に低調と言わざるを得ません。そのなかで、リニューアル案件が堅調で売上げを支えています。大型商業施設や全国チェーン店などの省エネ改修はほぼ終わっていますが、その下の中小のオフィス、店舗、工場・倉庫等の施設では、多くが旧光源をまだ使用しています。
これらの省エネルギーの改修需要には期待できます。ただこの残っている仕事に対して、現状では事務機器用品の会社やオフィス用品の会社など、我々電材業界とは違う別業界の活動が目立っています。工・販・製の業界を挙げて、もっとこの分野の業績を伸ばしていくことが大事ではないかと考えています。
弊社の製品にはG13口金付き直管形LEDランプもまだあります。これでなければ対応できないという場所がまだ残っています。リニューアルにあたっては有力な選択のひとつとして考えていただきたいと思います。
今後の需要予測ですが今年度の住宅は年度を通じて前年並みか、または後半下回るのではないかと予測しています。少子化により来年度以降もあまり大きな期待はできないと思います。
非住宅分野においてもオリンピック関係の大きな仕事はあるかもしれませんが、おそらく下期は前年並みに推移をしていくのではないかと考えています。
本年10月以降は若干ではありますが、駆け込み需要の反動も想定されるので、やはりリニューアル案件を丹念に売り上げに結びつけていくことが肝要と私どもは考えています。
――遠藤照明の鍛冶谷さん、お願いします。
鍛冶谷 東京の第1四半期としましてはお陰様で2ケタの伸びをしています。電設系、電材系、商業施設という3つの分野に分けますと、電設がオリンピック関連で建築関係は伸びています。電材は少し元気がなく前年比で少し割れている状況です。それをカバーしているのが商業施設で非常に好調です。商業施設のなかでも、コト商品と呼ばれているフィットネスクラブや美容室など、物売りではなくコト消費がかなり引っ張っています。またホテル関係もあります。
また、働き方改革についてですが、オフィスの多様化ということで、商業施設といっていいかわかりませんが、例えばエントランスや会議室などに、商業のような空間をオフィスのなかにつくる企業が非常に増えています。
従来の一般的なベース照明が並んでいるようなオフィスではなくて、ダウンライト構成のものなどが好調です。
最近は単なる照明ではなくて制御に関連して、いかに調光するか、いかに調色するかなど、働き方改革の影響もあり、空間の多様化への要望が多くなってきています。
後半に関してですが、店舗系は半年先が見えない業界ですが、昔の流通店舗の大手ショッピングセンターがどんどんできた時代とは異なり、いまは街のちょっとした商業施設や駅ビルの10店舗ほどが改装されるということがあり、物販店の方も秋口から好調になってきています。
こうしたなか春先においてもオリンピックに向けてリニューアル化が進んでいくのではと予測しています。
――日東工業の酒井さん、お願いします。
酒井 私どもは、第1四半期の4月、5月、6月ですが、お陰様で忙しい時期でした。盤メーカーは業界として売上げが下期型と言われるなかで、4月、5月、6月は過去にない需要を頂きました。
その要因は全国的に言いますと、学校空調があります。
当然ながら受変電設備、配電盤の需要が一気に上がってきたというところです。
東京都で言いますと、あまり学校空調の需要はありません。こちらの方は、いわゆる高度成長期に納入されました受変電設備の更新需要があります。私どもは東京オリンピック・パラリンピックの直接需要はあまりなく、周辺需要が昨年の後半から今上期まで非常に活況を呈している状況です。
また、私どもの競合にあたる盤メーカーさんにも、私どものキャビネットや部材を利用してもらっていますが、その需要が一気に来ました。盤、キュービクル、部材の売上げともに好調でした。
先行きについてですが、私どもの業績に相関関係が高いのが、非居住の建築床面積です。大体、指数が出ると半年遅れくらいに私どもの需要と相関が出てきます。その指数で見ますと1月から6月までは、マイナスを示しています。この好調さがどこまで続くのか懸念しているところですが、今年の後半から先行きにかけて新築関係について心配をしています。
ただ、繰り返しになりますが、学校空調も引き続き、2年、3年と続いていくと思いますし、リニューアルに関しては、私ども電源関係も例外ではありません。
東京電設資材卸業協同組合様では受配電設備の今後のリニューアルについての勉強会をされるなど、注目されているというお話が小島理事長様からありました。受変電設備でとくに高圧の所はイニシャルコストが非常にかかるので、やりたくともなかなかやってもらえない商材であります。
これに関しては、三位一体となって需要を喚起していくことが大事であると思います。
――アイホンの宮尾さん、お話下さい。
宮尾 インターホンは、いままでニッチな産業としてやっていましたが、少しずつ市場に認知されて、インターホン工業会の統計では2018年度、初めて生産実績が1千億円を超えました。
弊社の4月から6月までの状況ですが、若干の増収増益でありました。弊社の昨今は20年ほど前にリニューアル営業所という部門を立ち上げ、マンションのリニューアルを専門にやる部隊をつくりましたが、第1四半期は、なかなか売上げが上がらない状況です。
分譲マンションのリニューアルに関しては、7月、8月、9月がいちばん活況であります。3月竣工の物件が多くあり7月、8月、9月に工事をするものがほとんどです。
弊社も皆様と同じように新築の住宅着工が先細りになるなかマンションのリニューアルおよび病院、老人保健施設、老人ホーム等のリニューアルの拡大に向けて種まきをしている状況です。
増税の影響と言われているものとしては、分譲マンション、賃貸マンションのリニューアルに関して大きく伸びています。7月、8月、9月で言いますと、いま受注しても工事をされる方がいないという状況で、非常に活況であります。
オリンピックの影響に関して、弊社は直接的な影響はありません。それに付随したホテルや商業施設等々にインターホンが少し入っているのではないかと考えています。ただ、上期に下期の先食いをしているという状況も考えられるので、下期に関しては、あまり大きく伸びるとは考えていません。
新築の賃貸マンションに関しては、着工戸数は大きく伸びておらず、前年割れの状況が続いています。ただオートロックの比率が増えている状況ですので、弊社にとっては、あまりマイナスという状況ではありません。
――河村電器産業の瀬川さん、お願いします。
瀬川 太陽光のバブルと言われるようなところから、ここ数年売上げはかなり落ち込みましたが、ようやく学校空調の関係により、第1四半期、前年を大幅に上回る実績で終わることができました。
ここで電材と電設部門に分けて説明しますと、電材の方は、消費増税の駆け込みで9月のとくに変電設備の受注残が多くたまっており、いま工場はパンク気味です。
電設については、オリンピック需要のなかで、大きく2つに分けますと、オリンピックの時だけ使うオーバーレイと言われる施設とレガシーと言われる今後も恒久的に使われる施設があります。
このなかで私どもは標準盤メーカーとして、オーバーレイといわれる施設を中心に受注をしています。ただ、カスタムメーカーさんがパンク気味で、そのような仕事が、私どもにもやって欲しいというニーズがありま す。これは今期いっぱい十分に続いていくと思われます。
ただ、学校空調やオリンピック需要も今期いっぱいなのかと考えています。来期以降はどうするかということに関しては、受変電設備のリニューアルなどを中心に地道に、トレンドに左右されないところを開発していこうと考えています。
日本全国には約80万基の変電設備があります。それを20年に1回やったとしても、年に4万基の補修はあるのではないかというところは見えています。
人口世帯数が減るなかでこうした仕事は手間がかかりますが、地道にやっていくことで業績を確保していきたいと考えています。
――マスプロ電工の堀さん、いかがでしょうか。
堀 弊社の東京市場としては、今期に入り住宅からマンション、ホテルなど、新築物件に関して非常に好調に推移して売上も計画通りです。ただ昨年開局した新4K8K放送の改修機器に関しては思った以上に改修は進んでおりません。
この改修見込み部分の落ち込みについては、ここ数年力を入れてきたセキュリティ、IoT関連機器などが好調に推移をしていますので、販売の不足分を補う形となっています。
ただ関東全体を見た時に、昨年度は、私どもの業界では災害特需的な部分がありました。今年度この部分の数字が補えないということが地域的にはあります。
これからの需要予測として先ほどの4K8Kの普及に関してですが、PR不足などで一般ユーザーに浸透していないところもあると思われます。JEITAの統計では2000年頃、約1千万台のテレビの出荷がありました。しかし、4K8Kテレビは伸びていますが約450万台で全体としてはまだ半分くらいです。
9月に開催されるラグビーワールドカップや深夜放送で4K放送を開始するテレビ局もありますので、これから盛り上がっていくことを期待しています。
先ほど申し上げましたが、セキュリティやIoT機器は順調ですから、後半とくにセキュリティに関しては力を入れて伸ばしていきたい、また、伸びるだろうと考えています。
――DXアンテナの古田さん、お願いします。
古田 弊社の第1四半期は、全社としては前年比アップで推移しています。東京エリアに関してもわずかですができている状況です。ただ工事の方では昨年あった特需案件がなくなった分を、受信機器の販売などでカバーをしています。
4Kのリニューアルに関する計画を大きめに立てていました。しかし、テレビが壊れてしまったので、4Kテレビを購入したが、とくにBSは見られるので、いままでのままでも構わないという方もいます。4Kテレビの出荷自体は120%ですが、BSアンテナ自体は100%程というのが、JEITAの集計でも出ております。
ただしBSアンテナの出荷に関しては、ここ3年ほど減少傾向にありましたので、前年と変わらず来たということは、昨年12月若干伸びたこともありまして、多少を上向きにはなっていると思っています。
4Kに対応してBSアンテナの出荷がこれから若干伸びるという期待はしています。
業界としては、昨年8月後半から11月にかけて台風の影響があり、そこの数字が大きく伸びていますので、今年は伸ばせるかどうかというような状況です。
4Kの普及活動という意味では、総務省の電波漏洩に関する講習会が10月に関東・信越で開催されます。これに向けて工事店様に対してPRしていき、いま一度、4Kの普及へ業界としてしっかりと取り組んでいきたいと思っています。
2010年はテレビの出荷台数が2500万台ほどありましたが、これから買い替え需要が進んでいくなかで、全チャンネル4K放送を見るためには改修工事が必要であるという点をしっかりと皆さんと一緒にPRをしていき、改修需要の取り込みに力を入れてきたいと思っています。