「換気の日」 キャンペーン ~3~

パナソニックエコシステムズ株式会社
IAQビジネスユニット 営業部 営業企画課 係長 髙橋 正人氏

Ⅰ換気の日にあたり

日本電機工業会により1987年に制定されました11月9日「いい空気の日」(換気の日)は、本年で33回目を迎えます。これまで換気の大切さをあらゆる方面から訴求、啓発頂きました全日本電設資材卸業協同組合連合会様、全日本電気工事業工業組合連合会様、一般社団法人日本電機工業会ならびに関係各位のご支援ご尽力に対し敬意を表するとともに厚く感謝申し上げます。併わせて、この間継続して「換気の日」の普及にご尽力頂いた報道関係各位に対しても厚く御礼申し上げます。
さて、昭和に始まりました「換気の日」も平成の時代を経て3世代目の令和の時代を迎えることになりました。この30数年の間に、建築物は省エネ性・耐久性など大きく進化してまいりました。さらに建築物のあらゆる部位に設置される設備機器も同様に劇的に高性能化が進んでいます。換気設備は簡単に言いますとそのような設備機器において人が生活していく上で欠かせない“空気”を「いい空気」に改善していく機器と言えます。
当社としましては、微力ながら、これからの時代に求められる「いい空気」を実現する商品の創出と、継続して換気設備の普及と換気の重要性の啓発に尽力してまいる所存です。引き続きご支援賜りますようお願い申し上げます。

Ⅱ市場動向について

まずは19年度上半期の工業会換気扇需要の動向です。第1四半期は前年割れの推移でしたが、第2四半期は10月消費増税を控えた活発な動きにより台数は前年比102%の結果で終えました。特に9月度におきましては対前年比111%と久しぶりに前年2桁アップの伸びを示しております。
下半期は当然反動が予測される局面ではありますが、前回2014年の増税前の動きと比較しますと、需要の動きは緩やかで、反動も前回レベルまで落ち込まないのではと予測しています。
増税前後の経済的な変動の平準化を図るため、国も「次世代住宅ポイント制度」を導入し、増税後も優良な住宅購入やリフォームを促進しています。換気設備の中ではレンジフードと浴室換気乾燥機が本制度の対象設備として登録されています。
経済的な反動を緩和するその他様々な施策も展開され、19年度年間の換気扇需要は下半期の落ち込みはあるものの、年間で前年レベルあるいは微減程度を予測しています。
いずれにしましても、今後の新設住宅着工の伸びは期待できない中、住宅・非住宅含めた質の高い空気提案と安定した需要が見込まれるリフォーム需要拡大への商品提案にも注力してまいります。

Ⅲ当社の取組みと商品のご紹介

当社は昨年12月に1958年に換気扇第1号機を発売して以来60年の年月を経て、グローバル生産累計2億台を突破しました。換気に関する考え方の歴史はさらに古くからありましたが、台所等の局所的な排気を主とした換気から、住宅の高気密化に伴う家全体の安定的な換気、さらに化学物質対策として導入された24時間換気へ変遷してきました。そして現在当社は室内に存在する空気そのものの向上を実現し、IAQ(室内空気質)の価値提供が生活価値の向上にもつながる提案を強化しています。まさしく換気の日の啓発主題であります「いい空気」が人の生活における“コト”の改善に貢献できることを体感も含めて訴求展開しております。
2017年に愛知県の当社換気扇工場敷地内にオープンしました体感型実験住宅「IAQ Labo」は住宅関連業者様をはじめ、流通業者の皆様など多くの方にご来場頂き、換気方式の違いによる体感としての室内空気の違いの訴求、また省エネ型住宅の換気設備として大きく市場が拡大しております熱交換換気のメリットも体感訴求しております。カタログや口頭での説明だけでは分かりにくい空気の質と変化を具体的に体感頂くことにより、見えない空気に対する理解と、さらには空気や換気の重要性、そこから生まれる生活面の向上変化、さらにはその空気がどのような機器を使って実現できるのかを、見て、感じて、納得頂けると考えております。
もちろんIAQは住宅だけを語るものではありません。お勤めの方が日常滞在するオフィスや店舗といった非住宅空間についても当社は取り組み提案を強化してまいります。今年8月に工場敷地内に非住宅空間への空気質・水質を提案する「Reboot Space(リブートスペース)」をオープンしました。具体的な商品はこれからですが、ビジネスパートナーと連携しながらノウハウの蓄積、アップデートし非住宅空間ソリューション事業の拡大に取り組んでまいります。「IAQ Labo」と同様機会がありましたら体感頂ければ幸いです。
当社はこれからの高いIAQ価値創造に向け、空気のネガティブ要素である湿気・ニオイ・化学物質等の排除目的の換気から、熱交換換気に代表される省エネ性・快適性の向上、さらには上質な空気から得られる健康面のメリットなどポジティブ要素の訴求で、換気設備を中心としたIAQ商品群を積極的に提案してまいります。
これからの建築市場は厳しい局面が予測されますが、電材業界の皆様のご意見も頂戴しながら価値を高めた商品開発と“いい空気”の啓発に取り組んでまいります。

◆新商品ご紹介
①住宅用熱交換気システム・カセット形(FY-14VBD2SCL他4機種)

現在大きく拡大している住宅用熱交換気システムIAQ制御搭載モデルです。風量幅も拡大し、一般的には1フロアー1台設置が多いですが、住宅の床面積によっては1台で全館対応も可能です。さらに季節にあわせた快適運転も高い評価を頂き省エネ性に加えて快適性においても貢献します。また、機器の縦置き設置も可能になり、脚立等での天井面作業ではなく、手元でのメンテナンスも可能になりました。全機種DCモーター、PM2・5対応フィルターを標準としています。
熱交換気は住宅において3種換気からのグレードアップも拡大しており、今後の住宅換気の中心になることを期待しております。

②サイクロン給気フード・排気フード(FY-CUX06他8機種)10月発売


熱交換換気などの給気フード側から侵入する虫や粗塵を旋回流により分離。自然風でフード外へ排出するサイクロン給気フードの接続口径150㎜タイプを発売しました。フード部で排出することにより侵入の抑制と防虫フィルターのメンテンナンス手間を軽減します。熱交換換気の需要拡大に伴い同時採用の検討が増加しています。同デザインの排気フードと合わせてご提案します。

③次亜塩素酸 空間除菌脱臭機“ジアイーノ”(F-JDS70-W、F-JDL50-K)


最後に大空間の除菌・脱臭機器として市場拡大しております空間除菌脱臭機の新モデルです。40畳用は黒色を追加し選択幅を広げました。さらに大空間対応としてテニスコートの約半面に相当する56畳用を新たに発売いたします。設置先も拡大しており、換気設備では実現できない除菌脱臭に特化した空気価値創造商品です。換気同様“いい空気”をつくる商品として新規市場への提案を推進してまいります。

Ⅳおわりに

当社は快適空気環境の実現に向け、換気による給気・排気の空気の流れに加え室内循環形の機器で空気浄化事業も展開してまいります。
昨年ご紹介しました次亜塩素酸で室内空間の除菌脱臭を行う「空間除菌脱臭機」ジアイーノは新たな空質改善の機器として空気の新市場を広げております。
今後もコトを実現する「いい空気」づくりに取り組んでまりいます。皆様の一層のご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

電材流通新聞2019年10月31日号掲載