エネルギーマネジメントを前面に
太陽光発電を巡っては、政府が取り組みを強めているが、さきごろ開
かれた「スマートエネルギーWeek」では、エネルギーマネジメントを訴える一方で、太陽光で発電した電気を有効利用するための製品やシステムも目を引いた。それぞれの特長を紹介する
各社、注目の製品をアピール
〈エネルギーマネジメント〉
政府が推進する「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」が今後増加していくと、エネルギーの効果的な管理がより求められるようになる。「ホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS)」は、EVや太陽光発電による電気を管理したり有効利用したりする際に欠かせない存在だ。
三菱電機は、「エネディア」などを通じて、スマートハウスソリューションを提起した。エネディアは、HEMSで稼働させられる機器としてEV用パワーコンディショナー「スマートV2H」を位置づけた。太陽光で発電した電気をV2Hを通してEVにためることができる。その電気を自動車の走行だけでなく家庭でも使うようにすれば、電気の自給自足に近づく。
同社では、より広範な顧客層に有用性をアピールしていくため、ユーチューブに専用のチャンネルも開設した。
パナソニック エコソリューションズ社のソリューションは、エネルギーの制御面により配慮する。
パワコンと蓄電池一体型のシステムに、3月に対応を開始したばかりのスマートHEMS「AiSEG2」をつなぐと、電気料金プランに合わせた蓄電池の充放電や、気象予報と連動した蓄電池への充電などが自動で行える。
日東工業は、6月から発売するHEMS対応ホーム分電盤「エネウェイ」などを訴求した。エネウェイは回路ごとに電力量を計測して見える化を図り、通信機能により家電や住宅設備の仕様状況を通知することなどができる。
環境問題や省エネが重視されるなか、こうしたエネマネに関するソリューションは今後一層重要性を増してきそうだ。
〈EV充電インフラ〉
EV(電気自動車)の充電インフラは、これまで住宅からEVに充電する一方向型が主流だった。それが、このところEV、住宅それぞれに充電、給電する双方向型に流れが大きく切り替わりつつある。
ニチコンは、EVの役割について「街中を走る」から「家庭で使う」への転換を掲げ、「EVパワーステーション」をアピールした。これにより、EVへの充電、住宅への給電の双方が可能になる。
モデルは、高機能、アドバンスなど4種類あり、それぞれが標準装備する室内リモコンに過去の運転履歴を表示したり、リモコンで室内からパワーステーションを操作したりすることもできるようにした。可搬型の給電器「パワームーバー」も展示。大型のスーツケースのような形状で、EVやFCV(燃料電池車)などから電気を取り込み、家電機器へ電力を供給する。災害発生時に避難所で使用することなどを想定している。
東光高岳は、昨年10月にリリースしたEV用パワーコンディショナー「スマネコV2H」をアピール。ニチコン同様、充電、給電の双方向機能を有する。
同社では、太陽光発電の用途が今後は売電から自家消費型に移行するとして、そのために必要となる双方向型設備の需要増を見込む。
スマネコは、系統電力とEVからの給電を完全に切り離す非連系方式とすることで、機器のより小型化を図った。家電機器を使いながらEVにも充電する場合は、使用電力のピークが契約電流を越えないよう調整してくれる。
〈IoT、O&Mなど〉
技術革新が進展する中、日立製作所はIoTプラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」をアピールした。大量のセンサーで作業現場の動きを「見える化」して全体最適化を図ったり、AIを用いて異常データを検出し、設備の故障によるダウンを未然に回避できることなどを訴えた。
東芝ITサービスは、中規模太陽光発電事業者向けに、設備の見守りを行なったり、異常時に駆け付けたりするO&Mサービスの重要性をアピールした。担当者によると、改正FIT法により、設備の保守管理が義務付けられたにも関わらず、個人オーナーの中には依然として、設備の保守管理に無頓着な例が少なくないという。発電設備は設置後間もなくから、さまざまな異常が発生するといわれており、サービスの今後が注目される。
戸上電機製作所は、面積が大きな太陽電池パネルの故障個所を特定するための「ストリングトレーサ」や、「セルラインチェッカ」を出展。使い方の実演も交えて、丁寧な説明を心がけた。
ネグロス電工は、ハゼ式折板屋根用太陽電池パネル取付具を展示。金属具の上に樹脂を塗装、錆への耐性を向上させ、強度をもたせると同時に軽さも実現した。リリースして1年ほど経つが、本格的なアピールは実質今回が初めてとなる。