マサイの人々の視力
アフリカのマサイ族は、驚異的に目がいいことで知られる。マサイの人々の視力は3.0~8.0と推測されているそうで、日本のテレビ番組で検査したときには12.0の人もいたという。視力表から30m離れて、一番下のあの小さな記号が見えるというのだから信じられない思いだ。これは生まれつきの能力ではなく、広大な自然の中で常に眺視(ちょうし)をしていることと、目を酷使していないことが要因と考えられている。その証拠に、都会生活を送っているマサイ族の視力は普通だそうだ。
一方、私たち日本人は子どもも大人も、テレビ、パソコン、スマートフォン、新聞や雑誌の小さな文字などを一日中見つめている。草原の向こうのライオンなど眺めない。平成30年度の学校保健統計調査によると、「裸眼視力1.0未満の者」の割合は幼稚園で約27%、小学校で約34%となっており、ともに前年度から増加している。もちろん、テレビやパソコンだけが視力低下の原因ではないだろうが、事実として、つぶらな瞳をした小学生の3人に1人が視力1.0未満なのだ。
サビエルさんが伝えたメガネ
ともかく、視力が悪くなればメガネの登場である。いつ、どこで、誰がメガネを発明したのかについては諸説あって判然としないが、およそ700年前のイタリアが発祥とされている。レンズはそれ以前からあった。メガネの日本伝来は1551年、社会の教科書にも載っているスペインの宣教師フランシスコ・サビエルが来日した際、周防(現在の山口県)の国主である大内義隆に献上したものが最初だという。これも他説あり。また、コンタクトレンズの原理は約500年前、芸術家であり発明家である、あのレオナルド・ダ・ビンチが発見したらしい。球形のガラス容器に水を入れ、その水面に顔をつけて容器の外の見え方を確かめたのだとか。水に顔をつけてブクブクして遊んだり、息を止める競争をしたりしないところが天才の天才たるゆえんか。そして、世界最古のサングラスは、カナダのバフィン島で発見されたスノーゴーグルで、約800年前のものだそう。メガネよりも古いということになるが、これもはっきりしたことはわからない。
電気工事士のゴーグル
さて、前置きが長くなったが、やや強引にゴーグルの話にもっていこう。ゴーグルとは、もちろん目を保護するための道具だ。先ほどのスノーゴーグルやスイムゴーグルといったスポーツ用から、オートバイや航空機の運転用、そして医療用や各種作業用まで、多種多様な専用ゴーグルがある。
建築現場などで使われる作業用ゴーグルは保護メガネや安全メガネとも呼ばれ、工事の作業中に発生する金属片や木片といった飛来物、粉じん、火花、熱、煙、有害光線あるいは紫外線などから目を守ってくれる。耐衝撃性、耐摩耗性、耐熱性など性能はさまざまなので、用途に応じて最適なものを選びたい。
電気工事士はかけている人が少ないようだが、たとえば、ディスクグラインダー(ベビーサンダー)を使うような場面では、目を守るに越したことはないはず。確かに、ひと昔前はやぼったいデザインが多かったかもしれないが、今はゴグルタイプ(ゴーグル型)の他にスペクタクルタイプ(いわばメガネ型)もあり、スポーティーなサングラスのような保護メガネもたくさん発売されている。もちろん度付きもある。安全も、さりげなく身に付けるのが今風かもしれない。