乾電池の中には何が入っている?
そういえば考えたこともありませんでした。放っておくとたまに液漏れするので、きっと化学的な液体が入っているに違いありません。しかし、正式(?)には「乾電池」と呼ばれていますから、そうすると液体ではなく固体か、はたまた気体か……いや、もしかして!?
なんて考えてもわかるわけはないので調べてみると、あの小さな電池の中には二酸化マンガン、亜鉛、炭素、塩化アンモニウムなどが入っているのだそう。それらの役割をごく簡単に説明すると、二酸化マンガンはプラス極をつくる材料、亜鉛はマイナス極をつくる材料、塩化アンモニウムなどは電解液で、いわば電気の通り道です。炭素は棒状で電池の真ん中に芯のように入っていて、プラス極のエネルギーを集めて取り出します。つまり、プラスとマイナスの間の化学反応によって電気が起こり……と、どんどん化学か物理の授業のように難解になって頭の中がスパークしそうですから、説明はこのへんで。
ともあれ、これは私たちがよく使う電池の一つ、マンガン乾電池の中身です。それでは次に、電池の種類を見てみましょう。
電池は何種類くらいある?
電池と一口にいっても、形状を含めて細分化すれば約4000種類にもなるそうですが、大きくは化学電池と物理電池の2種類に分けることができます。
化学電池は、前述のように電池内部での化学反応を利用して電気エネルギーを生み出す仕組みで、使い切りの一次電池、充電して繰り返し使える二次電池、そして燃料電池の3種類があります。乾電池も一次電池です。
一方の物理電池は、光や熱といった外部からのエネルギーを電気エネルギーに変換する仕組みで、太陽電池、熱電池、原子力電池などがこれにあたります。
私たちが普段よく使う一次電池、つまり乾電池にも幾つかの種類がありますが、購入する際は何となく値段で選んでいる人が多いのではないでしょうか。乾電池にもそれぞれ得意・不得意があります。今回は、暮らしに身近な乾電池の特性を整理してみましょう。
マンガンとアルカリはどう違う?
マンガン乾電池
古くからある安価な乾電池で、広く使われています。しかし電圧が下がりやすく、大きな電力を流すのには不向きですが、休ませるとある程度回復するという特性があり、上手に使うと長持ちします。特に時計やリモコン、懐中電灯、小ぶりの玩具など、小さな電力で動く機器に適しています。
アルカリ乾電池
マンガン乾電池と同じく、プラス極の材料は二酸化マンガン、マイナス極の材料は亜鉛ですが、量が多いことなどからパワーがあって長持ちします。そのぶん高価ですが、現代の主流といえるでしょう。幅広い機器に使用でき、電動歯ブラシやラジコンなどモーターを動かすもの、カメラのストロボなど大きな電力が必要なものに威力を発揮します。
リチウム乾電池
アルカリ乾電池よりもさらにハイパワーで長持ち。価格も高価です。そして最大の特徴が低温に強いということ。凍りにくい有機系の電解液を用いているため耐寒性があり、マイナス数十度という過酷な状況にも耐えます。例えば、冬の屋外でカメラやライトなどの機器を使用するのに最適です。
ちなみに乾電池のサイズは、ご存じのとおり、最も大きいのが単1形で、単2、単3、単4、単5、単6と順に小さくなります。また、9V形と呼ばれる四角い平形6層電池もあります。使用する機器に合わせて選びましょう。
液漏れするのに、なぜ「乾」電池?
乾電池が発明される以前の電池は、電解液がまさに液体の状態でたっぷり入った湿電池だったからです。機能そのものは便利でも持ち運びに不便で、誤って液をこぼしたり、気温が低いと液が凍ったりして、決して使い勝手が良いものとはいえなかったようです。
さて、今回は乾電池の中を興味本位でちょっとのぞいてみたわけですが、それが間違いだったと今、気づきました。どうやら私たちは知らないうちに、“電池の森”の奥深くへと迷い込んでしまったようです。すぐに引き返すつもりだったのですが……しかし、もう後戻りはできません。出口を探して、手探りでもう少し進んでみることにしましょう。ひょっとすると、新しい発見があるかも!?
つづく