電工さんの工具箱 第23回「ステップドリル」旬のタケノコ。

いろんなドリルの話

 ドリルといえば、ジェット・モグラを思い出さずにはいられない。もちろん、サンダーバードである。もしかして、若い人は知らないのだろうか? 解説しよう。サンダーバードとは、スーパーマシーンを駆使して災害や犯罪から人々を守る国際救助隊の物語だ。1960年代にイギリスで製作されたSF人形劇であり、日本でもテレビ放映されて昭和の子どもたちをとりこにした。以降、繰り返し再放送され、今も根強い人気を誇っている。その、サンダーバードのスーパーマシーンの一台がジェット・モグラだ。

 ジェット・モグラは、戦車と巨大ドリルが一体化した地底戦車だ。サンダーバード2号のコンテナで運ばれ、現場に到着すると自走し、ドリルが切り離されて地中へ潜っていく。特殊鋼でできたドリルは、いかなる障壁も突き破ることができるのだ。一説によると、時速198km。ものすごく早いのである。

 こうなると、ウルトラセブンのマグマライザーに触れないわけにはいかない。もしかして、知らない? 解説しよう。マグマライザーとは、ウルトラ警備隊が使用する地底戦車である。時速こそ25kmだが、ダイヤモンドよりも硬いドリルで地中を掘り進み、ドリルが効かない岩盤はビームを発射して破壊するという大変強力なマシーンなのだ。ガッツ星人に捕われたウルトラセブンにエネルギーを供給して救い出したものマグマライザーだ。

 こうした地中の乗り物は古今東西の小説や映画に登場するが、やはり実現するのは難しいようだ。トンネル工事などではシールドマシンと呼ばれる巨大な掘削機が使用されているが、世界最速のものでも時速3m強だそう。それでもすごい技術力だと思うが、乗り物ではない。人間は宇宙や海底には行けても、地底には行けないのである。

 そうなると、動物のモグラはすごいと思う。土中で暮らし、自らの手で掘り進めるトンネルは1匹で50m四方に及ぶという。ただしスピードは遅く、時速は80cmほどらしい。また、話はちょっと違うけれど、ネコザメの卵は人間の手のひらほどの大きさで、らせん形をしている。見た目が、鋼鉄でできたドリルそのものなのだ。しかも、それを親ザメがくわえて岩の隙間に押し込むという。

ネコザメの卵

電気工事にも便利な切削工具

JAPPY:ステップドリルJSD-430

 さて、ここから、なかば強引に工具の話にもっていくとしよう。

 ステップドリルとは、もちろん金属や木材に穴を開ける工具のこと。通常のドリル(ツイストドリル)は棒状のらせん形で、一定のサイズの穴を深く掘ることができるのに対し、ステップドリルは円錐形で、サイズの異なる複数の穴を段階的に開けることができる。インパクトドライバーやドリルドライバーなどの電動工具に取り付けて使用するが、ドリルを付け替えなくても、いろんな大きさの穴を空けられるという便利な切削工具だ。簡単なバリ取りや面取りもできる。電気工事士にとっても欠くことのできない工具の一つといえるだろう。その形状から“タケノコ”と呼ばれているのは、ご存じの通り。ちなみに、サンダーバードのジェット・モグラやウルトラ警備隊のマグマライザーも、いってみればタケノコ形だ。

 ステップドリルは、発売当初は確かに高価だったかもしれないが、現在はさまざまなメーカーから発売されており、価格もずいぶん手頃になっている。メーカーによって差はあるだろうが、価格とは逆に性能や耐久性は向上している。タケノコ、今が旬かもしれない。