電線大手4社の第3四半期連結業績は、程度の差こそあれ全社減収の中、利益で昭和電線1社が大幅増、他3社は大幅減と対照的な結果になった。建販が活況で国内電力も堅調な一方、世界的な車の生産台数減、光ファイバ需要減など逆風の情勢下、上期と同様に得意製品や主力分野の違いで明暗が出た。
大幅増益になった昭和電線HDは、エネルギー・インフラ事業の増益が大きく寄与した。特に首都圏再開発の需要などによる建設関連向けや、電力インフラの国土強靭化対策、再生可能エネルギー向けの需要など国内インフラ用途が引き続き堅調で、同事業部門の営業利益が9割増となったのが目立った。通信・産業用デバイス事業も減収ながら増益になり、その他事業で減収も黒字転換したことも牽引した。
住友電工は、自動車用WHの売上高で史上最高を達成し、情通分野の機器や5G向けデバイス類の需要は好調。しかし、自動車事業の研究開発投資がかさんだことに加え、第3Qに入り円高に振れ、中国向け需要が全般的に低下した。さらに銅価下落、光ファイバの単価下落や需要の鈍化に加えて、電力ケーブルが端境期に入り、FPC需要も減少し、超硬工具などの需要減少が重なった。
古河電工は、国内外の電力ケーブル事業が計画通りに改善してきたものの、光ファイバケーブルの価格競争激化と光ケーブルの採算性改善が遅れた上、電装エレクトロニクスや機能製品の市況鈍化の影響も受け、利益が減少した。
フジクラは、中国を中心に光ファイバなどの競争が激化した他、スマホ向けFPCの需要低下と価格競争、品種構成の変化などが響いた。