電線工業会調べ 主要7部門出荷

車6%増、建販2%増も 電気機械の7%減など響く

電線工業会がまとめた銅電線主要7部門別出荷数量の19年度(19年4~20年3月分実績)によれば、上期は比較的に健闘し、増加した月が多かったものの、10月以降下期は連続6カ月間前年を割り込み総計は、69万4千205㌧で前年度比0・5%減となる見通し。昨年10月に令和元年東日本台風(19号)や水害に見舞われたことや新型コロナの影響も響いた。2年ぶりに前年度を下回った。

金額ベースでは銅価下落もあり、電力や自動車の2部門を除き5部門が前年度を割り込み、金額面では総計は1兆2千212億7千100万円で同0・1%減と3年ぶりに減少した。

光ファイバケーブルを含む光製品は、中国市場などの伸び悩みで主力の輸出が振るわず、総計は3千890万2千㎞Cで同21.1%減と4千万㎞Cを切ってしまった。前年度を割り込んだのは6年のぶり。19年4月以降、連続11カ月減少した。

内需は649万2千㎞Cで同1.0%減と前年度並みになった。しかし、需要を支えてきた輸出が3千241万㎞Cで同24.2%減と大幅に下降したのが響いた。特に情通トラフィック量は増えているものの、中国などの光化投資が踊り場に差し掛かったうえ、世界的に供給過多になったのが、尾を引いた。

対照的に金額ベースでは、光ファイバケーブルを含む光製品が2千912億5千400万円で同2.8%増加した。このうち光ファイバケーブルコードは、615億5千万円で同14.1%増といずれも伸長した。汎用光ファイバケーブルのシングルモードが価格競争で厳しいさなか、日本勢の戦略は、ローラブルリボンファイバなど高付加価値な特殊ファイバにシフトしたため、増加したとみられる。

自動車6%増と好調建販34万㌧で2%増

部門別出荷数量をみると、前年度比でプラスグループは通信、電力、自動車、建設電販の4部門となった。

通信は、CCPやPECが鈍いものの携帯電話基地局用高周波同軸ケーブルや今年に入りデータセンター向けのLANケーブルが動いたほか、一部5G絡みも健闘して同4.3%増となった。

電力は、中盤や第3四半期が振るわなかったが、OFケーブルからCVケーブルの一部張り替え需要や原発ケーブル需要に加え、ここにきて洋上風力発電向けケーブルが動き出したことも重なり、同1・8%増とやや伸びた。

自動車は、10、11月のふた月は台風の影響で減少した。しかし、これ以外の10カ月間は自動車市場や生産台数の増加に連動し前年を上回り、同6・0%増と好調に伸びた。15年度7万200㌧だったのが4年連続で伸長し19年度には9万400㌧に成長した。EVなど次世代車の生産台数増加も寄与した。

建設電販は、10、11月のふた月は台風が響き前年を下回った。今年2、3月は、順当だった需要が一段落したうえ、わずかに新型コロナの影響を受け減少した。しかし、この4カ月間を除き、東京五輪の施設需要や首都圏再開発、インバウンド用ホテル建設向け需要で健闘したため、トータルでは34万2千247㌧で同2・0%増となった。

マイナスグループは、電気機械とその他内需、輸出の3部門になった。電気機械は、米中貿易摩擦に加え、新型コロナも微妙に響き同7・0%減少し、19カ月連続で前年割れが続いた。これによって、前度まで何とかキープしていた14万t台を割り込み、13万t台となった。

その他内需は、一年のうち9カ月分前年を下回り、同3・1%減少した。民間企業の設備投資が伸び悩んだのが、左右した。その結果、出荷量5万t台から4万t台に落ち込んだ。

輸出は、一年を通じ大型スポット需要が減ったうえ、一部コロナの影響もあり、同29・3%減と大きく下降した。

電線新聞 4202号掲載