【経産省】 第一種電気工事士制度等の見直し

実務経験年数を5年から3年に短縮する方向へ検討

経産省は、7月10 日に第1回電気保安制度ワーキンググループを開催し、電気保安人材をめぐる課題として、電気工事士関連の見直しや外部委託承認制度、電気保安人材の災害時の対応等について審議、検討した。ここでは、電気工事士関連の見直しの概要ついて紹介する。

●第一種電気工事士の資格制度
第一種電気工事士は筆記、技能試験に合格後、実務経験(通常5年以上、大学・高専の電気学科卒は3年以上)が必要である。
また、第一種電気工事士には定期講習の受講義務が課せられているが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、講習の延期、中止の状況が続いた。これらのことを踏まえ、同会では以下の課題について検討が行われた。

●実務経験年数の見直し
同ワーキンググループは第一種電気工事士保有者等にアンケートを実施した結果、「実際の現場において卒業学科による技術的な差はなく、実務経験としても3年あれば十分」という回答が多く得られた。第1図は第一種電気工事士資格保有者のアンケート結果である。
また、現在の電気工事は、制定(昭和62 年)当時と比べて電気設備の製品としての安全性も改善されている。
そして、電気工事の施工法、作業工具の改良等により、電気工事の作業時間も全体的に短縮傾向にあるという意見が業界から提示された。そのため、卒業学科に関係なく、一律3年とする見直し案をベースに、その妥当性や根拠を確認しつつ検討を進め、年度内の制度改正を目指す。

●定期講習のオンライン化
第一種電気工事士の定期講習は、集合講習(日時指定、教室で講師が講義を行う方式)でのみ開催されてきた。
しかし、パンデミックや災害発生時に集合講習だけでは、受講義務がある第一種電気工事士や指定講習機関がいずれも適切に義務を果たすことができなくなる。
そこで、現行省令の下でオンラインによる講習を可能とするための運用解釈をとりまとめ、7月上旬に指定講習機関に向けて通知。
今後、準備が整った指定講習機関からオンライン講習を開始する予定(早ければ7月下旬開始)。

オーム社「電気と工事」2020年9月号掲載