総計61.9万t10.8%減、半世紀ぶり低水準 20年度電線需要見通し改訂

71FY以来の低調 コロナ等が響く

内需60.8万t10.3%減建販は31.4万t8.2%減少

日本電線工業会がまとめた20年度主要7部門別の電線需要見通し改訂によると、総合計は、61万9千㌧で前年度比10.8%減となり、前回の大阪万博(EXPO’70)が開催された1970年度以来(61.8万㌧)半世紀ぶりの低水準になった。コロナ禍を強く受け7部門すべてが前年度割れ。内需は60万800㌧で71年度(60万2千241㌧)以来49年ぶりの低さになった。また、輸出も1.1万㌧となり62年以来(1万9千900㌧)58年ぶりの数値に下がった。今後はコロナ禍次第ともみられる。

電線工業会がまとめた20年度(20年4月~21年3月)主要7部門別の電線出荷需要見通しによると、コロナの影響が大きく、建設電販や自動車、電力をはじめ全部門とも振るわず前年度を下回り、総合計は61万9千㌧で前年度比10・8%減となり、前回の大阪万博があった1970年度以来(61.8万㌧)半世紀ぶりの低水準になった。
このうち内需は、60万800㌧で71年度(60万2千241㌧)以来49年ぶりの低さになった。さらに輸出も1.1万㌧となり62年度以来(1万9千900㌧)58年ぶりの数値に下がった。
7部門別の動向をみると、通信は、人口カバー率が90数%まで達した光ファイバネットワークの進展はまだ継続しており、その分銅メタル電線は目減りし1万㌧で同4.8%減とした。

自動車は生産台数減少し19.2%減

電力は、高経年ケーブル、設備の更新需要に期待するも、新型コロナ感染拡大による敷設工事延期などが響き、4万8千㌧で同3.6%減少するとした。
電気機械は、新型コロナの影響による企業の収益悪化で民間設備投資が抑制されるため、11万9千㌧で同11.8%減とした。このうち重電は、発電所の更新需要が低調で、民間設備投資も伸びず、2万4千㌧で同8.4%減とした。家電は、東京五輪の開催延期と新型コロナ感染拡大によって個人消費が低迷し、1万㌧で同17.4%減とした。電子・通信は、5G、IoT関連需要への期待はあるものの、新型コロナによる経済減速の影響によって2万3千㌧で同9・8%減とした。電装品は、自動車生産台数が大幅に減少すると予想されることから4万5千㌧で同16・0%減と大幅に落ち込む見通し。その他は1万7千㌧で同3・4%減とした。
自動車は、新型コロナの世界的な感染拡大によって、自動車生産台数が下降すると見込まれ、国内・海外とも需要が大幅に減少し、7万3千㌧で同19.2%減少すると予想した。
建設・電販は、東京五輪向け需要の終息に加え、新型コロナの影響による建設電気工事の中断、新規設備投資需要の抑制も重なり31万4千㌧で同8.2%減少した。
その他内需は、新型コロナの影響で国内消費が低迷し、民間設備投資の伸びも期待できず4万4千㌧で同11.3%減とした。
輸出は、景気回復の兆しが見られる国は一部あるものの、新型コロナの世界的感染拡大と米中貿易摩擦が相俟って依然厳しい状況であり1万1千㌧で同34・5%減と大きく落ち込むと予測した。

電線新聞 4215号掲載