今年度 中小企業の設備投資 8年連続増加へ

中小企業で2018年度に国内設備投資を計画(18当初計画)する企業の割合は、17年度の当初計画(17当初計画)を小幅ながら上回ることが商工組合中央金庫の中小企業設備投資動向調査でわかった。当初計画で設備投資「有」企業の割合が前年度を上回るのは8年連続となる。17年度の設備投資実績見込み(17実績見込み)は、製造業で16年度実績(16実績)とほぼ同水準、非製造業でやや上回る。

調査は全国の中小企業4393社から有効回答を得て分析した。それによると、18年度に設備投資を計画する企業の割合(18当初)は34・4%と、「17当初」(32・5%)より若干増え、8年連続で上昇した。
製造業は40・3%で、「17当初」(40・2%)とほぼ同水準。当初計画の段階で40%を上回るのはリーマンショック直前の08年度以来、3年続きとなり、投資意欲の高まりがうかがえる。非製造業は31・3%で、「17当初」(28・4%)から上昇し、2年連続して増加した。
「18当初」が「17当初」より減少したのは食料品、印刷、汎用・生産用・業務用機械、不動産・物品賃貸、情報通信業の5業種だけであった。また、「18当初」で設備投資「有」企業の割合が全産業平均(34・4%)を上回った業種は食料品、紙・パルプ、化学、窯業・土石、鉄・非鉄、金属製品、電気機器、輸送用機器、運輸業、飲食店・宿泊業の10業種。中でも化学(56%)、輸送用機器(55%)、運輸業(50%)、飲食店・宿泊業(48%)の設備投資意欲が高い。
「18当初」の設備投資目的の上位は前年度に引き続き「設備の代替」(49%)が最も多く、以下「増産・販売力増強(国内向け)」(31%)、「維持・補修」(28%)の順。「17実績見込み」と比べ、「増産・販売力増強(国内向け)」(2・1㌽増)、「設備の代替」(2・0㌽増)、が増加し、「製品の品質向上」(1・4㌽減)が減少した。
「16実績」から「18当初」まで2年続けて割合が増加しているのは「増産・販売力増強(輸出向け)」、「設備の代替」などで、反対に割合が2年続けて減少しているのは「福利厚生」。
設備投資を金額ベースでみると、「18当初」の設備投資額は「17実績見込み」比21・6%減となっている。ただ、当初計画は実績見込みより低くなるのが一般的で、今回も比較的小さいマイナス幅となっている。「18当初」の設備投資額は製造業で「17実績見込み」比29・9%減、非製造業で15・1%減となっている。
一方、国内設備投資の「17実績見込み」は、設備投資「有」の企業割合が53・1%と、「16実績」(51・4%)から緩やかに増加した。製造業で64・3%、非製造業で47・1%だった。50%を超えた業種は、食料品、紙・パルプ、化学、窯業・土石、鉄・非鉄、印刷、金属製品、汎用・生産用・業務用機械、電気機器、輸送用機器、運輸業、飲食店・宿泊業の12業種。
「17実績見込み」の設備投資目的の上位は「設備の代替」(47%)、「増産・販売力増強(国内向け)」(29%)「維持・補修」(29%)の順で、「16実績」に比べ、「情報化関連」(3・0㌽増)、「合理化・省力化」(3・0㌽増)が増加し、「地球環境への対応」(0・6㌽減)が減少した。
設備投資「無」と答えた企業では、その理由(複数回答)として「17実績見込み」、「18当初」とも「現状で設備は適正水準」(17年66%、18年66%)と答えたところが最も多かった。「景気の先行き不透明」(17年19%、18年18%)も引き続き多い。
近年課題となっている人材面について「必要な人材が確保できない」を設備投資「無」の理由に挙げる企業も9・3%ある。

商経管材新聞2018年5月9日号掲載