4K・8K対応受信機器特集

視聴可能機器1000万台間近
商品の多機能化で選択肢拡大
低価格化も進み購入を後押し

ケーブル技術ショー出展ブース・マスプロ電工㊧とDXアンテナ

 1年延期となった東京五輪は、さまざまなトラブルに見舞われながらも開催にこぎつけ、開催国として多くの金メダルを獲得して幕を閉じた。新4K・8K実用放送開始から早や3年近くが経過した受信システム機器市場もまた、五輪に合わせるかのように視聴機器の台数が加速度的に増加し、累計1千万台も間近となっている。

電子情報技術産業協会(JEITA)発表の6月の薄型テレビの国内出荷実績は52万台で、そのうち4K対応テレビは33万台となっている。薄型テレビ全体で4K対応テレビが占める割合は62・8%となっている。(表1)

新4K・8K衛星放送対応テレビの出荷実績は34万台で、薄型テレビ全体で新4K・8K衛星放送対応テレビが占める割合は57・8%となっている。(表2)

受信システム機器の2020年度国内出荷実績をみると、テレビ受信アンテナが前年同期比95・1%の80万9千本、能動機器が同85・5%の167万2千台、受動機器は同90・6%の844万2千台となった。(表3)

また、放送サービス高度化推進協会(A—PAB)の新4K・8K衛星放送視聴可能機器台数6月までの累計値をみると、JEITA発表の出荷台数では新チューナー内蔵テレビが652万1千台、外付け新チューナーが25万6千台、新チューナー内蔵録画機が106万2千台、これに日本ケーブルテレビ連盟ヒアリングによる新チューナー内蔵STBの設置台数156万8千台を加えてトータルで940万7千台となり、1千万台に手が届くところまできている。(表4)

6月単月では、特別定額給付金の支給等で好調だった前年同月比で約26%増となっているが、東京に4回目の緊急事態宣言が発出されたことや五輪のほとんどの競技が無観客開催となった影響が大きいと思われる。

放送サービス高度化推進協会(A—PAB)は5月末、東京都内で記者発表会を開いた。
席上、相子宏之理事長は、新4K・8K衛星放送を取り巻く環境について「新4K・8K衛星放送への満足度は大変高いものとなっている。NHKをはじめ各局の努力で4K・8Kコンテンツも増えている。こうしたコンテンツ・サービスを視聴者にしっかりと周知広報し、新4K・8K衛星放送をより多くの視聴者が楽しめるよう活動したい」と述べた。
木村政孝理事は、新4K8K衛星放送受信機器の普及状況について「目標の一里塚である1千万台に着々と進むことが出来ているのではないかと認識している」と報告したうえで、好調に推移している要因について「ひとつ目はアナログ放送終了時に購入されたテレビが10年を過ぎ買替時期を迎えていること。2008〜2011年の4年間で6857万台が出荷され、買替えの時期を迎えている。ふたつ目は『もっと大きな画面で視聴をしたい』というユーザーのマインドが強くなっていること。4月の薄型テレビ全体のサイズ別構成比では40型以上が全体の約3分の2を占めていることに加えて『今後を考えて新4K・8K衛星放送に対応したテレビを購入しよう』という思いが皆様強いと感じる。そしてもうひとつが新チューナー内蔵テレビへの参入メーカーが14社に増えて商品が充実してきたということ。商品の多機能化により選択肢が増えた一方で低価格化も進み、購入を後押ししている。とくに、有機ELテレビが好調なことは注目に値する」と分析する。1千万台達成については、「5月から7月までの3カ月では47万台/月ペースが必要となりかなり厳しいが、開催期間中の8月までの4カ月では35万台/月ペースとなる。決して楽な道のりではないが何とか達成出来ると考えている」との見通しを示す。

五輪は幕を閉じたが、各メーカーも4K・8Kへの関心が高まっているこの機会を逃すまいと新製品を相次いで発売している。電気工事業界や電材卸業界もまた、「工・製・販」の緊密な連携によって需要拡大への後押しに努めることが求められている。
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