4K・8K対応 受信機器特集 累計1000万台も間近 五輪に合わせ拡大

開催中止も危ぶまれた東京オリンピック・パラリンピックは、全競技日程を実施して幕を閉じた。新4K・8K実用放送開始から早や3年近くが経過した受信システム機器市場もまた、五輪に合わせて視聴機器台数が累計1千万台も間近となっているが、克服すべき課題も少なくない。

出荷台数  対応テレビの 割合60・4%

電子情報技術産業協会(JEITA)発表の7月の薄型テレビの国内出荷実績は約40万台で、そのうち4K対応テレビは約24万台となっている。薄型テレビ全体で4K対応テレビが占める割合は、59.2%となっている。(表1)


新4K・8K衛星放送対応テレビの出荷実績は約24万台で、薄型テレビ全体で新4K・8K衛星放送対応テレビが占める割合は60.4%となっている。(表2)


また、放送サービス高度化推進協会(A-PAB)の新4K・8K衛星放送視聴可能機器台数7月までの累計値をみると、JEITA発表の出荷台数では新チューナー内蔵テレビが676万5千台、外付け新チューナーが
25万7千台、新チューナー内蔵録画機が110万7千台、これに日本ケーブルテレビ連盟ヒアリングによる新チューナー内蔵STBの設置台数162万2千台を加えてトータルで975万1千台となり、1千万台が目前に迫っている。(表3)

A-PABは、今回の数値についてつぎのようにコメントしている。
「無観客で開催されたオリンピックは、7月23日の開会式の平均世帯視聴率(関東)が56.4%と1964年の東京オリンピックの61.2%に次ぐ歴代2位の高視聴率となった。BS放送では、今回初めてNHKで4Kと8Kの超高精細画像でオリンピックが放送され、民放BS各局でも一部の競技が4Kで放送された。これまでにないオリンピックの臨場感を楽しんでいただけたが、1千万台は9月までには達成したい」

新BS放送局の開局とBS帯域再編

今年度にBS右旋帯域に3つの新しい放送事業者が開局すること等にともない、昨年11月から「BS帯域再編(スロット縮減およびトランスポンダ間の移動)」が順次実施された。帯域再編で「視聴できなくなった」「録画予約が失敗していた」等の影響があると想定され、一部のケーブルテレビ局では受信端末(セットトップボックス)に影響する可能性も想定されている。

◇視聴できなくなった場合の一般的な対処方法

①テレビ
BSチャンネルが移動したために受信が出来なくなった場合は、受信機のリモコン操作で各BSチャンネルの移動を行い、「移動しないBSチャンネルの視聴」のあと視聴希望のBSチャンネルを選局することが必要となる。
また、リモコンのチャンネルの「+」「−」「<」「>」などと表記されたチャンネルの上下ボタンを操作し、映像が映るBSチャンネルに一度選局して30秒程度映像と音声を確認。そのあと、リモコンのチャンネルを上下して再編して映らなかったBSチャンネルに戻ることで受信可能となる。

②レコーダー
一般的に「移動しないBSチャンネルの視聴」「ダミー録画」、機種により「録画予約の再設定」を行なう方法が有効。「移動しないBSチャンネルで電源オフ」だけの機種もあるが、いずれも各チャンネル移動が行なわれるごとに必要となる。

 ▼移動しないBSチャンネルの視聴
BSチャンネル移動後に移動しないチャンネル(例:NHK・BS1・BS—TBS・BS日テレ)を一度30秒程度視聴してからトラポン移動後のチャンネルを視聴・録画する。

 ▼ダミー録画
BSチャンネルが移動した直後の朝6時〜7時くらいの時間帯で移動しないチャンネルの番組をダミーで録画予約し、録画を実行させる(EPGが出るのは8日前から)。
このダミー録画予約により、予約が実行される時に新しいBSチャンネルの配置情報を受け取り、つぎの予約録画以降の動作は新しいBSチャンネル配置情報をもとにチューナーが追従することになるため、予約録画失敗の回避策として有効となる(一部メーカー機種)。

 ▼移動しないBSチャンネルで電源オフ
BSチャンネルが移動する前日(実際は録画機の電源を入れる最後の日)に移動しないチャンネルに選局してから録画機の電源をOFF(リモコンを使って)にすることで予約録画の実行前に録画機の電源が入り、その時受信しているBSチャンネルから新しいBSチャンネル配置情報を取得。これをもとにチューナーが選局して追従するので、予約録画失敗の回避につながる(一部メーカー機種)。

4K・8K放送市場調査結果
新4K・8K衛星放送 視聴経験者は5%

A-PABは2月、4K・8K放送に関する市場調査を実施した。
「衛星放送で4K・8K放送が見られる」ことについては、約4割が認知していると回答し、そのなかで新4K・8K衛星放送を視聴したことがあると回答したのは5%だった。直接受信以外の視聴方法についての理解は前回調査(昨年5月)より増加し、視聴経験者の画質・臨場感への満足度については9割弱が「満足できる(非常に+まあまあ)」と回答した。
新4K・8K衛星放送チューナー内蔵・非内蔵含め4K(8K)テレビを所有しているとの回答は全体の約2割で、徐々にではあるが所有者が増加している。
4K(8K)テレビについての満足度は前回より増加しているが、その理由について「画面サイズ・価格などが一番よかったから」が増加した半面、「新4K・8K衛星放送の番組あるいは4K・8K映像を見ているから」が減少している。

 1、新4K・8K衛星放送の視聴状況
新4K・8K衛星放送を視聴した人は5.3%で前回とほぼ横ばいだった。視聴場所としては「自宅の4Kテレビまたは8Kテレビ」が7割弱、「電気店の店頭」が4割強のほか、「イベントで見た」との回答が微増している。

 2、新4K・8K衛星放送の画質・臨場感の満足度
新4K・8K衛星放送の視聴経験者で画質や臨場感については、「非常に満足できる」「まあ満足できる」を合計して9割弱となった。

 3、新4K・8K衛星放送の見たいジャンル
全回答者を対象に新4K・8K衛星放送で見たいジャンルを聞いたところ、「映画(洋画・邦画)」が約3割で、次いで「旅・紀行」「コンサート・ライブ中継」が続いている。

 4、新4K・8K衛星放送直接受信以外の視聴方法認知
新4K・8K衛星放送の視聴方法については、半数弱がパラボラアンテナで直接受信する以外の各種テレビ伝送サービスを通じて受信する方法を「知らない」と回答した一方、「ケーブルテレビ」や「光回線テレビ」で視聴可能であることを知っているとの回答が3割強、「インターネット回線テレビ」との回答が3割弱あった。前回と比べ、各種サービスを通じて受信する方法の認知が上がっている。

 5、4K(8K)テレビの所有状況と所有内訳
チューナー内蔵・非内蔵含め、4K(8K)テレビを所有しているとの回答は18・0%と前回より3・6ポイント上昇している。所有の内訳をみると、4Kチューナー内蔵テレビが2・4ポイント、4K対応テレビが1ポイントそれぞれ上昇している。

 6、テレビ購入時の情報入手経路
4K・8Kに限らず、テレビを購入する際の情報入手経路について「家電量販店の店頭」が約6割と突出している。そのほか、「比較サイト」や「メーカーのホームページ」などインターネットでの情報収集も多い。

 7、4K(8K)テレビの満足度とその理由
4K(8K)テレビ所有者の83・9%が4K(8K)テレビについて「満足」と回答し、前回よりも2・3ポイント上昇している。理由としては、「きれいな画質で見られるから」が4割を超えている。「画面サイズ・価格などが購入の際いちばんよかったから」との回答も3割強と前回より増加した一方、「新4K・8K衛星放送の番組あるいは4K・8K映像を見ているから」は前回より減少している。
不満足の理由については、機器関連では「チューナーの設置が面倒」、放送関連では「4K・8K画質の番組が少ない」という回答がそれぞれ2割強となっている。

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