21年度 関東電販組合員業態アンケート①

20FY粗利率実績、58%が減
コロナ禍で需要減 響く

関東電線販売業協同組合(関東電販)は8月、21年度組合員業態調査アンケート(会員数33社で回収率100%)を実施した。このアンケート結果によると、17年~18年度は、建販関連(東京五輪関連、首都圏再開発、小中学校の空調整備など)や自動車関連、その他の需要が好調だったが、19年度は東京五輪の延長やコロナ禍で電線需要にブレーキが掛かった。

20年度の売上高実績は「増収」が5社(前年度比13社減)に留まり、回答数の約8割を占める26社(同14社増)が「減収」。「横バイ」は2社(同±ゼロ)となった。(一部既報)

このうち「増収」5社は、情報通信、産業機器、巻線分野でLAN関係、車載部品、半導体製造装置、WEBシステム、テレワーク商材などが好調だった。また、巻線関連は銅価の高騰が、そのまま売上高に寄与した。「横バイ」2社は、情通関連で前年に引き続き好調だった1社と、受注減を銅価高でカバーした1社となった。

次に、21年度通期売上高見込みは回答数の約半分となる16社(同16社増)が「増加する」とし、銅価の高騰と市況の底打ち感が主因になった。また、建販分野、情通、産業機器、鉄道などの広範囲の9社(同20社減)が「減少する」と回答した。要因としてコロナ禍での需要減、鉄道工事の中止や延期、住宅着工件数の減少などを挙げている。「横バイ」の7社(同5社増)は、建販市場が厳しい状況が続くとみる企業と、情通やエレベーター、半導体など需要増を見込む企業の二つに分かれた。

20年度は79%が減収コロナが響き大打撃

売上高の増減率(前年度比)についてみると、16年度のアベノミクスの膠着状況の後、17~18年度は銅価のアップなどで売上高が総じて増加し、6%以上増とした企業が増えた。19年度も自動車、建販分野やその他が堅調に推移したものの、20年度はコロナ禍で大きな打撃を受け、26社(79%)が売上高を落とした。そうした中、少数だが7社が「横バイ」または「増加」と回答した。前年度比21~25%増とした1社は、半導体装置用や車載部品分野向けとなった。同1~10%増とした4社は、情通(WEB/テレワーク商材関連)、巻線、産業機器関連向けだった。

一方、20年度粗利率実績の動向をみると、需要の停滞と銅価高騰の価格転嫁不足などで19社・58%「減少」(同9社増、27㌽増)として、適正な粗利率を確保できなかった。そうした中、巻線、産業機器、情通関連分野(WEB、LAN関連などが主力の)7社・21%が「増加」(同10社減、32㌽減)となった。主に、コロナ禍による需要減や価格競争が響いた。 (次号に続く)

電線新聞 4256号掲載