日本電線工業会調べ 主要7部門別出荷 総計5.7万tで3.9%増、再浮上

自動車 3カ月ぶり増加
21暦年推定 総計63.3万t(0.6%増)

電線工業会がまとめた電線主要7部門別出荷数量の21年11月分実績および12月分推定によれば、11月分実績は、自動車が3カ月ぶりに増加に転じたことに加え、建販など通信を除き7部門中6部門が増加または前年同月並みとなったため、総計は5万7千808㌧で同3.9%増と3カ月ぶりにプラスになった。
光ファイバを含む光製品の11月分出荷量は、主力の輸出が334万3千㎞Cで同21.7%増と欧米向けが好調な上、国内用も67万7千㎞Cで同7.1%増と5G向けに健闘したことから総計は401万9千570㎞Cで同19.0%増と3カ月連続で増加した。
銅電線の12月分推定部門別出荷では、電力とその他内需を除く5部門が減少したため総計は5万3千800tで同0.8%減少した。この結果、21暦年(1~11月実績、12月分推定)の部門別出荷は、7部門中で建設電販など4部門が前年を下回ったものの、自動車が好調なほか、電気機械も健闘するなど3部門が増加したため、総計は63万3千279㌧で0.6%増と前年をわずかに上回った。当初、自動車の伸びに期待していたが、半導体や部品不足などが響き、やや勢いがなくなった。
自動車3カ月ぶりにプラスに転じ回復か
銅電線の11月分主要7部門別出荷数量のうち、プラスグループ(増減ゼロ含む)は6部門だった。
このうち電力は同3.4%増と21年9月から連続3カ月間増えている。昨年同月の水準が低いうえ、洋上風力発電向けなどの再エネや、張替需要と保守メンテナンス、高圧CVケーブル需要が下支えした。
電気機械は、半導体不足やコネクタ部品などによって減速した面もあるが、FA・ロボットケーブルや機器用高周波同軸ケーブル、医療機器向けなどの医療関連のケーブルなどが動き、同±ゼロと何とか前年並みをキープした。
自動車は、半導体不足やコネクタなどの部品不足などが響き、自動車の生産台数が前年同月を下回ったものの、ここにきて持ち直しの傾向が出てきたことから、同0.9%増となり、3カ月ぶりにプラスに転じた。
建設電販は、3カ月連続で増加し同4.2%伸長した。前年実績が低いところに、電設絡みの需要が次第に動き出しているうえ、6.6CVケーブル(EEタイプ)のタイト感も牽引した。そうしたこともあってか2カ月連続で2万7千㌧台を維持した。ただ、取引価格面では厳しい。

その他内需は、前年同月にコロナ禍の影響で動きが極端に鈍かった反動や、わずかに設備投資が戻ってきているため4カ月間連続で伸び同23.0%増と好調だった。

輸出については、一部電力ケーブルや機器用電線ケーブルが増え同21.2%増加した。コロナ禍の中でも健闘した。

一方、マイナスグループは、通信部門のみとなった。通信は、携帯電話の基地局用高周波同軸ケーブルなどが健闘しているものの、光化が依然響き同10.7%減少。3カ月連続で落ち込んだ。

電線新聞 4266号掲載