電気の豆知識 ~いつか役立つ⁉︎ 電気にまつわる雑学篇~「大阪を彩る光の今昔」

通天閣のライトアップ

大阪のシンボルタワーである通天閣が2022年1月下旬、赤くライトアップされました。夜空に浮かび上がる幻想的な美しさですが、残念ながら、新型コロナウイルス感染症の警戒レベルが最大に至ったシグナルです。光は人の注目を集めます。
通常、通天閣はひと月ごとにライトアップの色が変わります。1月はアイスブルーで氷のイメージ、2月はレッドで椿、3月はピンクで桃というように、1年の季節感を12色で表現しています。タワーの上部にある大時計にも雪や桜といった四季のモチーフが映し出され、てっぺんに突き出たライトは色の組み合わせで明日の天気が表されます。こうした多彩な光の演出は、LEDの成せる技といえるでしょう。
今は通天閣が“警戒解除”を意味する緑色に輝くことを願うばかりです。

道頓堀のネオンサイン

その昔、赤い灯、青い灯、道頓堀の~♪と歌われた『道頓堀行進曲』という流行歌があったそうです。レコードの発売が昭和3年といいますから1928年、今から100年近く前の歌です。知る人ぞ知るご当地ソングかと思いきや大ヒット曲だったらしく、以降も多くの歌手の方がカバーしています。しかも、田端義夫さん、朝丘雪路さん、坂本スミ子さんなど、そうそうたる顔ぶれ。インターネットで検索すると、海原千里・万里さん(上沼恵美子さんとお姉さんの漫才コンビ)や石川さゆりさんまで歌っていて驚きます。

大正後期から昭和初期にかけて、大阪は「大大阪」と呼ばれていました。面積・人口・工業生産額とも日本一で、東京をしのぐ世界有数の大都市として隆盛を極めていた時代です。道頓堀にグリコサインが出現するのはもう少し後のことですが、モダンなカフェーやキャバレーが次々と誕生して華やかなムードを漂わせていました。そうしたネオン街の彩りや色恋のイメージを歌ったのが『道頓堀行進曲』です。しかし、当時はまだネオンサインが普及していなかったので、ネオン街という名称もなかったのでしょう。道頓堀の赤い灯や青い灯は、電球に色を塗ったいわゆる着色電球だったそうです。

江戸時代の赤ちょうちん

歓楽街の代名詞ともなっているネオンとは、赤・青・緑・白といった光を放つネオン管灯のことで、それを曲げて文字や絵柄を作り、看板や広告に用いたのがネオンサイン。蛍光色で「BAR」などと輝いている、あのおしゃれな看板です。そもそもネオン(Ne)とは元素であり、あんなふうに美しく輝くのはネオンガスが入っているからなのだそう。これ以上の詳しいことは理系出身の人に尋ねていただければ幸いですが、ともかく、カラーもデザインも多彩なネオンサインは単なる表示ではなく、ファッション性やアート性に富んだ光の芸術ともいえます。
ちなみに、電気のない時代を考えてみると、ネオンサインの代わりといえば“赤ちょうちん”が思い浮かびます。江戸時代の頃から一杯飲み屋の店先につるされていたそうで、現代の居酒屋などでもよく見かけます。オジサンたちが夜の灯に引き寄せられるのは、いつの時代も同じなのでしょう。

未来を照らす光

ネオン街もLEDが主流になりつつあります。一般的にLEDネオンなどと呼ばれますが、ネオン管灯とは別のものです。今や家庭の照明にも使われているLEDとは、Light(=光) Emitting(=出す) Diode(=ダイオード)の略で、発光ダイオードともいい、その特長を一言で表せば、長寿命で省電力。白熱電球の約40倍という寿命の長さがあり、ろうそく、白熱電球、蛍光灯に次ぐ第4世代のあかりとして、私たちの暮らしや社会に定着しています。
人の目を引き、人の目を楽しませてくれる電気の光。次は、どんな世界を見せてくれるのでしょう。