電気の豆知識 第2回 電気工事がよりスピーディーに〜この道具って誰が発明したの?〜

電気工事の三種の神器とは?

「三種の神器」という言葉をご存知でしょうか。


日本の歴代天皇が継承してきた三種の宝物のことで、八咫鏡(やたのかがみ)・八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)・草薙剣(くさなぎのつるぎ)のことをいいます。


もうひとつ、家電製品にも「三種の神器」という言葉が使われます。白黒テレビ・冷蔵庫・洗濯機のことです。

昭和30年代後半からはじまった高度経済成長とともに、一般家庭にはさまざまな家電製品が普及していきました。その頃、家電製品は庶民にとって憧れの存在だったのです。

日本の高度経済成長と歩みを合わせるかのように、電気工事関連の仕事も増えていきました。
家電の取り付け工事や修理に町の電気屋さんは大忙し。また地方の山間部に電気ケーブルを敷設するなど大口の受注が拡大し、電気工事業者の数も増加していきました。
電気ドリルがまだなかった時代、あるいは電線の被覆素材も現在とは違う時代、電気工事の方法もまったく違う時代に、彼らは苦労しながら電気を全国に普及させていったのです。
それから50年以上が経ち、電気工事に関する技術も大きく進化しました。そこで今回は「電気工事における発明品」をテーマにお話ししてみたいと思います。

さて、現在の電気工事における三種の神器とはいったいどんなものでしょうか。
一般的には、テスター(回路計)・アーステスター(接地抵抗計)・メガー(絶縁抵抗計)だといわれています。
日本の高度経済成長時代には、さまざまな電気工具が改良され、また新しく発明されています。その中から厳選して、いくつかをご紹介いたします。

電気工事における革命的な道具とは?

●電気ドリル

(株式会社マキタ 電気ドリル)

「電気ドリル」とは穴を開けるための電動工具のこと。モーターと減速機・ドリル・チャック部分からなり、正式名称は「携帯電気ドリル」といいます。
歴史は意外と古く、世界最初の電気ドリルは1889年に電気技師・アーノットとブレインの共同研究によってオーストラリアで発売されました。また携帯式電気ドリルは1895年にドイツ人のファインが発明して販売しました。
1916年になってピストルグリップとハンドルが付いたトリガースイッチ付き電気ドリルが、アメリカのBlack&Decker社によって開発・商品化。またたく間に全世界に広がっていきました。
日本で最初に電気ドリルを開発・販売したのは芝浦製作所(現・東芝)で、1935年のことでした。
1969年には電動カンナをヒットさせたマキタが充電式の電池ドリルを発売。ちょうど高度経済成長の時代でした。
その後、さまざまな機能が本体に追加され、作業範囲が広がっていきます。現在の電気ドリルは穴開けだけでなく、締め付け・弛め・研磨・研削など、工事現場の必需品として多方面で活躍しています。