電気の豆知識 ~いつか役立つ!? 電気にまつわる雑学篇~ 「空飛ぶクルマ」

未来の世界へひとっ飛び!?

未来を描いた映画や漫画では、自動車はもう当たり前のように空を飛んでいます。

たとえば80年代のアメリカ映画『ブレードランナー』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でも、60年代イギリスの人形劇『サンダーバード』でも、日本のアニメでは『ドラえもん』や『ドラゴンボール』はもちろん、女の子に人気の『魔法のプリンセス ミンキーモモ』でも、古くは60年代の『スーパージェッター』や50年代の『鉄腕アトム』でも“空飛ぶクルマ”が登場します。アトムなどは手塚治虫氏が70年も前に描いた作品です。

そんな憧れの世界、夢の未来がいよいよ現実になろうとしています。

大阪・関西万博で4機種がテイクオフ!

2025年4月から開催される「大阪・関西万博」では今(’24年4月現在)、空飛ぶクルマが商用運航を目指して準備中です。事業者はANAホールディングスとJoby Aviation(アメリカ)、日本航空、丸紅、SkyDrive(愛知県豊田市)の4社が決定しています。つまり4機種がお目見えする予定で、写真を見るとどれも近未来的でカッコイイのですが、プロペラがあるため、クルマというよりもヘリコプターに近い印象を受けます。そもそも空飛ぶクルマとヘリコプターは何が違うのでしょうか。

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クルマ? 飛行機? ヘリとの違いは?

国土交通省航空局の令和3年3月「空飛ぶクルマについて 」という資料によると、空飛ぶクルマの「明確な定義はないが、『電動』『自動(操縦)』『垂直離着陸』が一つのイメージ」だそうです。

ヘリコプターはジェット燃料を使用していますが、空飛ぶクルマは電池でプロペラを回転させて飛行します。また、ヘリコプターの操縦には免許が必要で、空中にとどまるホバリングも簡単ではないそうですが、空飛ぶクルマは現時点ではパイロットが操縦する必要があるものの、将来的には自動操縦を想定しているといいます。垂直に離着陸できるので滑走路なども不要で、なんといっても電動なので低環境負荷、低騒音、低コスト。実用化にあたっては交通、流通、観光、災害救助など、さまざまな場面での活躍が期待されています。

もちろん、空飛ぶクルマは世界各国でも開発が進んでおり、海外では主にeVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)と呼ばれています。日本での正式名称もその方向で「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」というのだそう。……ん、航空機? クルマとちゃうんか~い! と思わず声が出てしまいましたが、わかりやすいといえばわかりやすい名称ではあります。

空飛ぶクルマはいくらで買える?

クルマを走らせていると渋滞に遭遇。すかさず「Go!」と叫んで操縦席の赤いボタンを押せば、車体の両横から翼がシャキーンと出て、ジェット噴射で空のかなたへ飛んでゆく――。そんな姿を想像していたのですが、それはまだ漫画の世界のようです。

空飛ぶクルマは現在、巨大なドローンのようなプロペラタイプと、飛行機のような翼を持つタイプとに大別できるそうで、よりクルマに近い形の翼タイプはないものかとネット検索してみると、ありました。

スロバキア共和国に本拠を置くKlein Visionという企業が開発した「エアカー」は、3分でスポーツカーから飛行機に変身し、滑走路を走って空へ飛び立ちます。そう、トランスフォームです。その様子が動画で紹介されていますが、ちょっとSF映画みたいでカッコイイのです。

テレ東BIZより

このエアカーは販売を開始しているそうですが、日本でも前述のSkyDriveが昨年4月から個人向けに空飛ぶクルマの予約販売を始めています。パイロットと乗員の2人乗りで、最大航続距離は約10km、最高巡航速度は100km/h。納期は2025年以降で、機体価格は150万ドル(約2億円)。マイ空飛ぶカー、あなたも1台いかがですか。