電気の豆知識 第3回 「コンセント」のおはなし

普段、何も気にしないで使っている「コンセント」ですが、考えてみればとても便利なスグレモノ。このおかげで、どの部屋にいても電気製品が自由に使えるし、一度に複数のパソコンで仕事をすることだってできます。
いったい誰がこんな便利なものを、いつ発明して、どのように広まっていったのでしょうか?また世界のコンセント事情はどうなってるのでしょう?
今回はそんなコンセントの歴史と、いくつかの素朴な疑問について調査してみました。

配線用差込接続器
コンセントの正式名称は「配線用差込接続器」といいます。これは「差し込みプラグ」「プラグ受け」で成り立っており、この両者を抜き差しすることによって、電線と電線の接続と遮断を簡単に行うことができる接続機器のこと。日本では JIS C 8303-1993 で規格化されています。

コンセントの分類
ざっくりコンセントとよばれていますが、細かくは以下の4つに分類することができます。

●差し込みプラグ

オーム電機:差し込みプラグ

導体となる金属製の刃と、絶縁体で覆ったコードで構成されているもの。これをプラグ受けに差し込んで電流を通し、抜いて電流を遮断します。なおこの名称については、後述の「コンセント」と誤解しているケースがあるようです。

●コンセント

神保電器:NKシリーズ配線器具埋込ダブルコンセント 1連用プレート付

電源を供給するために、家電製品などのプラグを接続する差し込み口(プラグ受け)のうち、建造物の壁面や床面に設置されたものをコンセントといいます。つまり固定されているもの。

●コードコネクタボディ

オーム電機:差込みボディ

プラグ受けのうち、コードの延長用で、壁面などに埋め込まれていないもの。固定されていないものの名称。

●マルチタップ


オーム電機:発煙ガード安全タップ 3個口

プラグ受けのうち、二口以上の刃受があり、2つ以上に分岐して使用できる形状のもので、壁面に固定していないもの。テーブルタップ、三角タップなどとも呼ばれています。

コンセントの歴史
さて、次にコンセントの歴史についてご紹介しましょう。
コンセントが最初に登場したのは、いうまでもなくエジソンが1879年に電球を発明して以降のことです。

彼は1882年ニューヨークにエジソン・エレクトリック・カンパニーを設立し、一般家庭への電気の供給を開始しました。各家庭に供給された電気を、家庭内さまざまな場所で使用するため、コンセントが開発されたのは自然の成り行きでしょう。
後述しますが、コンセントの形は世界各国でまちまち。多種多様に形が違っています。これは電気が各国に普及しはじめた当時、各国が好きなようにコンセントをデザインしたから。100年後の世界事情など、その頃の人たちは考えもしなかったのでしょう。
もしコンセントが世界基準で統一されていたら、さぞ便利だったことでしょうが、いまとなっては手遅れの感は否めません。

日本で最初にコンセントの原型が登場したのは1920年(大正9年)だといわれています。
日本の一般家庭に電灯が普及しはじめた大正時代は、天井から吊り下がったソケットに電球を差し込んで利用していました。しかしラジオやアイロンなどの電化製品の登場により、それらの電源をソケットから取る必要ができ、開発されたのが「分岐ソケット」というものでした。
さらに一般家庭で使用する電化製品が増えたため、この分岐ソケットでは足りなくなり、壁付けのコンセントへと進化していったのです。

大正末期になると、差し込み口とコードの先の組み合わせを「コンセントプラグ」と呼ぶようになりました。
東京電燈(現・東京電力)に勤めていた小林勲が、同社の電気工事規定である内線規定を起草する際に、それぞれを「コンセント」「プラグ」と別々に称したことから、その後、差し込み口をコンセントと呼ぶようになり、一般に定着しました。