電工さんの工具箱 第34回 「保安器具や看板」安全を守る。注意を促す。

コーン? それともパイロン?

セーフティコーン、カラーコーン、パイロンなど、さまざまな名称で呼ばれる“三角のやつ”。工事現場や道路、あるいはイベント会場などで区分けや規制のために置く円錐形の保安器具だ。

コーン(cone)とは、そのものズバリ「円錐」という意味で、英語ではトラフィックコーン(traffic=交通)と呼ぶそう。かぜ薬の名前みたいなパイロン(pylon)は元々、「古代エジプト神殿の入り口にある双塔の門」を指すという。二つ並べてポールをわたすと確かに門のようではある。ともあれ、コーンとパイロンに明確な違いはなく、要するに同じ物だ。ちなみに「カラーコーン」は日本の会社の登録商標である。

コーンの歴史は意外に古く、一説によると、1914(大正3)年のアメリカ・ニューヨーク市が発祥で、当時はなんとコンクリートで作られていたのだとか。今は軽くて柔らかい合成樹脂製が主流であり、赤、黄、青、緑と色もカラフル。夜間に光を反射するタイプなどもある。また、変わったところでは、たとえば京都の街並みや和風の施設などとの調和を考えて、竹製のコーンカバーを販売している会社もある。

お辞儀をする人や飛び出す子どもの看板

安全を確保するための備品としては、他にも看板やサインがある。工事現場でよく見かけるのは、作業服を着てヘルメットをかぶったキャラクターが、「ご迷惑をかけてすみません」や「ご協力をお願いします」といってお辞儀をしている看板だ。それこそ千差万別さまざまな種類があるが、あのキャラクターを総じて「オジギビト」と呼ぶそうだ。フリー百科事典『ウィキペディア』によると、名付けたのは漫画家の「とり・みき」さんという人。また、オジギビトの第1号は、大成建設が昭和30年代に自社専用として出した「安全坊や」ではないかと考えられている。

坊やといえば、「飛び出し坊や」も忘れてはいけないだろう。名前の通り、道路の陰から飛び出すフリをしてドライバーに注意を促す看板のキャラクターだ。通学路などを中心に全国各地の道路脇にいて、飛び出し君や飛び出し注意君、飛び出し小僧など、地域によってさまざまな名前で呼ばれている。オジギビトと違うのは、飛び出し坊やの場合は大抵、ひと型の看板になっている。なぜか目が真っ黒の坊やなどがいて、思わず笑ってしまいそうになる。

 ともあれ、車の運転も現場作業も、周囲に気を配って安全に行いましょう。