電気の豆知識 ~いつか役立つ!? 電気にまつわる雑学篇~ 「電動キックボード」

電動キックボードって、どんな乗り物?

気軽で便利な乗り物として、すっかり定着した感のある電動キックボード。街にはレンタルサービスもたくさんあります。でも、まだ乗ったことがないという人も多いのではないでしょうか。運転免許証は? ヘルメットは? 運転方法は? 調べてみました。

電動キックボードは「電動」ですから基本的に「キック」する必要はないわけですが、もともと、足で地面を蹴って走るハンドル付きスケートボートのような乗り物があって、日本では子どもたちがよく乗っていますが、これを一般的に「キックボード」と呼ぶことから、「電動キックボード」という名称になったと思われます。「電動キックスケーター」や「立ち乗り電動スクーター」などとも呼ばれます。

道路交通法上では令和5(2023)年7月1日から、一定の基準を満たす電動キックボードを「特定小型原動機付自転車」と定義し、16歳以上は運転免許証がなくても乗れるようになりました。それ以前は一般原動機付自転車――いわゆる50ccバイクと同じように運転免許証が必要だったのですが、より気軽な乗り物になったわけです。ヘルメットも「努力義務」です。とはいえ、電動キックボードは立ったまま運転しますし、コケたりすると相当ダメージがありそうです。安全運転を心がけましょう。

「特定小型原動機付自転車」の主な基準は以下です。

●車体の大きさが、長さ190cm以下・幅60cm以下であること。

●原動機として、定格出力が0.60kw以下の電動機を用いること。

●時速20kmを超える速度が出ないこと。

●走行中に最高速度の設定を変更できないこと。

●オートマチック・トランスミッション(AT)であること。

●最高速度表示灯が備えられていること。

機種によって多少の違いはあるものの、運転操作はいたってシンプル。右ハンドルに付いているアクセルを親指で押して前に進みます。ブレーキは自転車と同じように左右のハンドルに付いていて手で握ります。ウインカーやクラクションも装備されています。

交通ルールについては細かく定められていますが、ここでは省略します。主な禁止事項としては、16歳未満、二人乗り、飲酒運転です。

電動キックボードの原動力はリチウムイオンバッテリー

電動キックボードの多くはリチウムイオン電池のバッテリーを採用しています。リチウムイオン電池は充電して繰り返し使用できる二次電池の一種であり、電気自動車、電動工具、パソコン、スマートフォン、デジカメ、ゲーム機、電動歯ブラシなど、幅広く使われています。

〈リチウムイオン電池の主な特長〉

●コンパクトでパワフル

他の二次電池と比べて、同じ電気エネルギーを蓄えるのに必要な容量が小さくて済みます。つまり、小型で軽量かつ大容量です。

●繰り返し使用に強く長寿命

二次電池は充電と放電の繰り返しによって徐々に劣化し、蓄えられる電気エネルギーの量が減っていきますが、この劣化による蓄電容量の減少が比較的緩やかです。つまり、充放電の繰り返しに強く長寿命です。

●継ぎ足し充電が可能

ニカド電池やニッケル水素電池などに起こりやすいメモリー効果(継ぎ足し充電を繰り返した残量ポイントが記憶され、それ以上に充電できなくなる現象)がほぼ見られません。しかも、急速充電が可能です。

リチウムイオンバッテリーを採用した電動キックボードを安全・適正に使用するためには、極端な高温・低温の環境下での使用や保管を避けること、バッテリーに衝撃などを与えないこと、長期間使わない場合はバッテリーを車体から外し高温多湿等を避けて保管すること等が主な注意点です。保管する場合は、充電状態を0%や100%にせず、常に40~60%程度になるよう管理することが望ましいようです。

今はレンタルが主流の電動キックボードですが、購入する場合、価格は5万円程度から30万円程度まで幅広く販売されています。手軽でエコな電動の乗り物は、これからも新しいカタチが登場するのではないでしょうか。