住友電工 人工知能学会から優秀賞 障がい者活躍支援AI

 住友電工がクオルテックと共同研究に取り組んでいる「障がい者主動のAI開発を実現するHuman-in-the-Loop機械学習システム」が、人工知能学会の「2025年度全国大会優秀賞」を受賞した。同システムは、住友電工解析技術研究センター開発企画部の星名豊氏と、クオルテックの牛尾香澄氏および植木竜佑氏の共同研究によるもの。人工知能学会は人工知能分野における国内最大の学会で、全国大会優秀賞は、5月開催の人工知能学会全国大会で発表された研究論文の中から、特に優れた研究発表に贈られる。

 住友電工は、特例子会社である「すみでんフレンド」と協働し、2021年から「インクルーシブAI開発」を推進している。すみでんフレンドの従業員がAI開発の前ステップであるアノテーション作業(AI開発における教師データを構築する工程)を通して、電線ケーブルなど同社の主力製品の評価工程で活用するAI開発に直接参画する取り組みは、2023年度にも研究会優秀賞を受賞した。

 さらに今回の研究では、障がいを持つ従業員が専門家の補助なしでも、アノテーション作業からAIモデルのトレーニングまでAI開発工程を一貫して担えるツールを、クオルテックと開発した。これにより、障がいを持つ従業員が自社の実課題解決に中核として活躍できる環境を整備。ケーブル製品にとどまらず、光学顕微鏡、X線CT、電子顕微鏡などのさまざまな画像データを分析するAI開発が可能となる。障がいを持つ従業員の業務範囲の拡大のみならず、現場で求められるAI活用の促進にも貢献することが期待される。

電線新聞 4415号掲載