4K・8K関連機器特集

2020年までに約50%の世帯での視聴を目指す
総務省が普及へ全力業界あげて「安全・安心な視聴」いち早くアピール

新4K・8K衛星放送開始を12月に控える受信システム機器市場。政府は2020年までに全国の約50%の世帯で4K・8K放送が視聴されることを目指している。旗振り役を務める総務省も、野田聖子総務相みずから全力で普及に取り組むことを述べている。

野田総務相みずから新4K・8K衛星放送をPR(総務省YouTubeより)

電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した4月の薄型テレビの国内出荷実績は、30万8千台。そのうち、4K対応テレビは12万7千台で、薄型テレビ全体の約40%を占める数値となっている。
4K対応テレビの比率は、一昨年11月に初めて3割を超えて以来、3割台〜4割台の数値をキープしている。
2017年度の薄型テレビの国内出荷実績は、423万5千台で前年度比90・6%だったが、4K対応テレビは136万4千台で同100・9%となり、薄型テレビ全体の32・2%を占める数値となった。


一方、2017年度の受信システム機器国内出荷実績は、テレビ受信アンテナが前年度比99・0%の83万5千本、能動機器が同107・7%の182万9千台、受動機器は同95・2%の918万6千台で、能動機器以外は前年度比を下回った数値となった。

4K・8K情報掲載ポスター

今月1日、放送サービス高度化推進協会(A-PAB)が新4K・8K衛星放送開始半年前セレモニーを開催。
野田総務相や推進キャラクターを務める深田恭子さんらが放送開始に向けたメッセージを述べたほか、新4K・8K衛星放送の魅力などを紹介した。
野田総務相は、放送局や関係者に対して情報の早期提供を呼び掛けたほか、総務省としても電波漏洩対策などを含めて全力で普及に取り組むことを示した。
また、NHKの上田良一会長、日本民間放送連盟の井上弘会長、さらにはJEITAのAVC部会代表を務める東芝映像ソリューションの安木成次郎取締役副社長が代表してあいさつしたほか、実用放送を実施する局の代表者も意気込みや決意を述べた。
安木副社長は、「JEITAとしては10月の『CEATEC JAPAN』、11月の『Inter BEE』で魅力を発信する。IoTとの融合など新たなサービスとの相乗効果も期待できるでは」と語る。
テレビメーカー各社もまた、すでにBS4Kチューナー内蔵テレビを発表している東芝をはじめ、対応テレビやチューナーを放送開始に先駆けて投入する。
【BS右旋のチャンネル名称】
・NHK BS4K
・BS日テレ4K(2019年12月1日開始予定)
・BS朝日4K
・BSジャパン4K
・BS—TBS4K
・BSフジ4K
【BS左旋のチャンネル名称】
・ショップチャンネル4K
・4K QVC
・映画エンタテインメントチャンネル
・NHK BS8K
・WOWOW(2020年チャンネル名発表、同12月1日放送開始予定)
【110度CS(実用放送)】
・J SPORTS 1(4K)
・J SPORTS 2(4K)
・J SPORTS 3(4K)
・J SPORTS 4(4K)
・日本映画+時代劇4K
・スターチャンネル
・スカチャン1 4K
・スカチャン2 4K

A—PABは、4K・8K放送サービスならびにその関連事項について一般ユーザー認知・理解度などをうかがう調査を2016年より定期的に実施してきた。
このほど、2016年9月から今年2月の間に実施した3回の調査結果を時系列でまとめた。

【4K・8Kの認知状況】

「4K」「8K」という言葉の認知は拡大している。
今年2月には約9割が「4K」という言葉を知っている(「気がする」含む)と回答しており、「8K」という言葉についても知っている人が6割を超えている。

【4K放送の視聴意向・テレビ購入意向】


4K放送の視聴意向も徐々に増えており、今年2月時点で4K放送を視聴したい人は全体の4割に達している。
また、購入するテレビの条件には、「4K映像に対応していること」「4K放送のチューナーを内蔵していること」を挙げる人が、年々増加している。

【4K・8Kテレビの普及状況】


4Kテレビ所有者の割合は今年2月時点で5・0%と、20人に1人が4Kテレビを所有している。
4Kテレビ非所有者のうち、「4Kテレビが欲しい」との回答は4割以上を占めるものの、「購入したい」と回答したのは17・1%にとどまっている。

SHマーク

「新4K8K衛星放送」では、BS・110度CSの左旋偏波の電波も利用するが、総務省では衛星放送の受信の際に左旋偏波の中間周波数の電波干渉防止のため、F型コネクター接続ならびに「SHマーク」機器の使用を呼びかけている。

左旋電波による妨害例

左旋電波を受信するアンテナを設置した際、F型コネクターを使用せずに接続すると、その箇所から電波が漏洩し、無線LANや携帯電話の速度低下や通信不良など、他の無線システムに妨害を与える可能性がある。
また、この接続箇所に電子レンジなどが発する電波の干渉を受けて、衛星放送の受信不良が発生する可能性もある。
このような懸念を解消すべく、受信設備からの電波漏洩に関する規定について法制化し、4月1日に施行された。
この基準に適合しない受信設備は、すべて違法となる。
また、こうした障害を防ぐための改修工事に対して経費の一部を助成する国の助成金制度がこのほど開始され、その問合せ先となる電波漏洩対策コールセンターも併せて開設されている。
〈電波漏洩対策コールセンター〉
0570—048—068(ナビダイヤル)
コールセンターの運用時間は9時〜17時(土日祝日、年末年始は休み)

電波漏洩に関する規定

主要メーカーにおいても、SHマークで求められるBS・110度CS右左旋放送受信帯域での受信および電波漏洩規格を満たした製品を相次いで開発している。
電材業界としても、4K・8K放送の「安全・安心な視聴」をいち早くアピールして市場の主導権を握り、「工・製・販」の緊密な連携で業界の活性化につなげたいところである。

電材流通新聞2018年6月21日号掲載