電設・ウォッチ! 第3回 災害時の備えは万全か?

地震以外の火災に備えて

地震による火災だけでなく、一般的な火災への対策も急務であるといえます。2006年に住宅用火災警報機の設置が義務化されて以降、火災における被害は減少傾向にあります。

しかし火災による犠牲者の半数以上は、高齢者という調査結果もあり、高齢化社会と火災の関係は切っても切れない社会問題となりつつあるのです。

これをふまえた上で、高齢者住宅に積極的に防災機器の設置を提案していきたいものです。電設メーカーが提供する、火災への防災機器の中からいくつかをご紹介します。

・民泊サービス向けLED非常用照明器具
(東芝ライテック)

近年注目されている民泊では、宿泊者の安全確保のために非常用照明器具の設置が義務づけられています。東芝ライテックから発売されたLED非常用照明器具は、電気工事士の資格がない人でも後付けで容易に設置することができます。

・ケーブル用防災製品
(因幡電機産業プライベートブランドJAPPYなど)


耐火ボックス、耐火キャップ、耐火テープなど、さまざまな耐火製品が販売されています。建築物には電力・通信などさまざまなケーブルが通っており、ケーブルが関与する大火災の危険度が増しています。壁・床などのケーブル貫通部に防火処置を施すことによって、火災が他の部屋へ延燃して大火災になることを防ぎます。

・プレトラックコンセント
(河村電機産業)

長時間、コンセントにプラグを差し込んだままにすると、プラグ周辺にホコリが溜まります。このホコリが原因となって起こる火災をトラッキング火災といいますが、これを未然に防ぐコンセントです。同社は奈良県の薬師寺へ「プレトラックコンセント」を寄贈し、世界遺産の保護にも貢献しています。

近年は各電気機器メーカーが積極的に災害に対する取り組みを積極的に行っています。

顧客の大切な生命や財産を保護するために、常日頃から積極的に防災設備を提案していくことが重要です。私たちが被災する可能性のある災害としては、地震と火災を含めて次のようなものが考えられます。

・地震による災害
・火災による焼失
・豪雨・高波などの浸水被害
・落雷による停電・破損
・台風・強風などによる風圧被害
・その他、人的被害の防止

業界をあげて、このようなリスクが常に存在することを施主様に働きかけ、もしもの際に被害が最小限となるような提案をしていくことが重要です。電気事業は人々のライフラインに直結する重要な役割を担っていることを意識した取り組みが求められています。