日本ロボット産業の最新市況  18年は生産金額1兆円突破も


日本ロボット工業会(JARA)は、2017 年のマニピュレータ、ロボット統計生産・出荷実績と18 年の見通しを発表した。17 年の受注台数は23 万5268 台(前年比29.2% 増)、受注金額は9447 億200 万円(同27.8% 増)と初めて9000 億円を突破。生産台数は23 万3981 台(34.0% 増)、生産金額は8776 億5700 万円だった。18年は受注金額で1 兆1000 億円、生産額で1 兆円突破を見込んでいる。


統計の概要
同統計は、日本ロボット工業会の会員企業42 社と非会員企業14 社の合計56 社の報告を受け、毎年発表しているもの。日本には安川電機、ファナックをはじめ、エプソンやヤマハ発動機、三菱電機など大型から小型、単軸から多軸まで、産業用ロボットの世界大手企業がひしめいており、同統計を観察することで世界的な傾向を掴むことができる。

国内・輸出の状況
ここ5 年間の推移を見ると、順調に右肩上がりで成長。13年の受注額5098 億2900 万円に始まり、14 年に6037 億900 万円、15 年に7027 億4300 万円、16 年に7392 億9800 万円と急成長を続け、17 年に9447 億200 万円に達した。5 年間で4000 億円以上も市場規模が拡大している。
仕向地別でも国内・海外ともに順調。国内出荷額は、13 年は1521 億6900 万円。14 年に1667 億3900 万円、15年に2010 億100 万円、16 年に2206 億1800 万円となり、17 年は2462 億2200 万円だった。全出荷額のうち、国内向けは25% を占めている。
海外向けの輸出額は、13 年に3515 億3300 万円だったものが、14 年に4233 億4100 万円、15 年に4824 億1300 万円、16 年に4954 億400 万円となり、17 年は6493 億8100 万円まで広がった。全出荷額の75% が輸出向けとなっている。
仕向地詳細は、中国向けが2599 億3100 万円。政府主導の省力化、自動化の推進が強化され、16 年の1744 億600 万円から49% の大幅増加となった。次いでアメリカの1183 億1200 万円(前年比10.8% 増)、ドイツの545 億6400 万円(同32.3% 増)と続く。韓国は459 億1600万円(同1.0% 減)、台湾が400 億1600 万円だった(同10.3% 増)。


用途別の状況
ロボットと言っても、その用途はさまざま。特に近年は自動車やエレクトロニクス以外にも広がり、その業務も多様化している。
17 年出荷台数のうち、最も多く出荷されたのが、マテリアル・ハンドリング(マテハン)。5 万8687 台で、前年比から42.2% の増加。総出荷台数の25.1% を占めた。次いで溶接の4 万9319 台(同21.8% 増、構成比21.1%)、組み立ての4 万4944 台(同19.3% 増、構成比19.3%)、クリーンルーム用の3 万658 台(同52.9% 増、構成比13.1%)と続く。さらに電子部品実装の1 万4078 台(構成比6.0%)、機械加工の1 万3199 台(構成比5.7%)、樹脂成形の8890 台(構成比3.8%)、その他の7081 台(構成比3.0%)、入出荷の3772 台(構成比1.6%)、塗装の2758 台(構成比1.2%)となっている。
国内では少し様相が異なり、半導体向けの出荷が前年の2倍超となったクリーンルーム用が急拡大し、最多の1 万923台(構成比22.2%)だった。マテハンが8109 台(構成比16.5%)と続いた。一方で、組み立ては8056 台(構成比16.4%)、溶接は7998 台(構成比16.3%)と前年から減少。自動車業界向けの41% が溶接ロボットで、自動車向けは堅調だったが、非自動車向けが伸びずに前年比マイナスとなった。それ以外は、その他の3644 台(構成比7.4%)、樹脂成形の3354 台(構成比6.8%)、機械加工の2964 台(構成比6.0%)、入出荷の1747 台(構成比3.6%)、電子部品実装の1660 台(構成比3.4%)、塗装の716 台(構成比1.5%)となっている。

国内業種別出荷実績 自動車と電気機械で7割り
業種別に見ると、最も出荷台数が多かったのが電気機械向け。前年比34.5% 増の1 万8707 台となり、構成比でも38.0% を占めた。次いで自動車となり、前年並みの1.0% 増だったが1 万4650 台で、構成比29.8% となった。電気機械と自動車の2 業種で国内全出荷台数の70% 弱を占める結果となった。
次いで5933 台のその他製造業(構成比12.1%)、3895台の機械(構成比7.9%)、2571 台の金属製品(5.2%)と続いている。
前年からの伸び率で見ると、金属機械が36.7% 増、電気機械が34.5% 増、非製造業が34.1% 増と30% 以上の大きな伸びとなった。特に電気機械は、通信機器で77.9% 増、電子部品・デバイス・電子回路で62.7% 増と大幅に増加した。自動車は全体としては横ばいだったが、自動車部品に限ると10.0% 増の2 桁増となった。

2018年6月22日 別冊

オートメーション新聞