電気の豆知識 ~いつか役立つ!? 電気にまつわる雑学篇~ 「香川県の“うどん発電”」

香川県民は、二日に一度は讃岐うどん!?

 2011(平成23)年、「うどん県に改名いたします」と高らかに宣言した香川県。もちろんキャンペーンの一環ですが、言わずもがな、四国・香川といえば「讃岐うどん」でしょう。県内にはうどんを出す店がコンビニエンスストアの数を大きく上回る800店前後もあるそうで、総務省統計局・経済産業省による2021(令和3)年の調査結果を見ると、人口1万人当たりの「そば・うどん店」の数は5.08店で全国1位。ちなみに、東京都は2.59店で全国10位、大阪府は1.66店で全国28位です。また、香川県民が食べるうどんの量は1人当たり年間200玉とも、それ以上とも。まさに押しも押されもせぬ「うどん県」です。

廃棄うどんを捨てておけない

 需要の増大に呼応して食品の生産量が増加すると、それに伴って廃棄量も増えてしまうのは致し方ない――とは言っておれない時代であり、少しでも減らす努力が必要です。2015(平成27)年に国連サミットで採択されたSDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)でも、世界が解決すべき課題の一つとして「食品ロス」が挙げられています。

 人口1億数千万人の日本ですが、食品ロス量は世界的に見ても多く、2021(令和3)年度は推計523万トン。これは東京ドーム約4.2個分に相当し、飢餓で苦しむ人々に向けた世界の食料支援量の約1.2倍に当たります。また、523万トンを国民1人当たりに換算すると、茶碗1杯分ほどの食べ物を毎日捨てていることになります。

 時間がたってコシがなくなった麺、製造過程で出る切れ端や規格に満たなかった製品など、香川県のうどんの廃棄量は年間3000トンに上るという試算もあります。

「もったいない」をエネルギーに

 さすがはうどん県という他ありません。うどんを愛するがゆえに、廃棄されるのをまさに捨ててはおけなかったのでしょう。香川県では産学民官の協働プロジェクトの一環として、うどんで電気をつくるという取り組みを10年近く前から行っています。

〈うどん発電とは〉

 うどんやその他の食品廃棄物をプラントに入れ、水分を加えるなどして発酵させるとバイオガスが発生します。そのガスを燃やしてタービンを回すことで電気をつくるという仕組み。

 この発電方法で食品ロスを削減すると同時に一般家庭40~50世帯分の年間電力量を生み出し、かつ、温室効果ガスの削減にも貢献しているといいます。

「うどんまるごと循環プロジェクト」

  うどん発電だけではありません。「もったいない」を合言葉にNPOや企業、行政、農家、教育機関、ボランティアの方々などが集まり、2012年に結成されたのが「うどんまるごと循環コンソーシアム」。うどん発電の後に残る液体や固形物で肥料を作り、それを地域の畑にまいて小麦を育て、その小麦からまた讃岐うどんを作るという、まさに「うどんまるごと循環」のシステムを構築しています。さまざまな立場の人たちが一体となって循環型社会を目指す好例といえるのではないでしょうか。

(参考:「うどんまるごと循環プロジェクト」ホームページ、他)

ジャンボびっくりQ~!

 さて、最後にクイズです!

 関東で「たぬきうどん」を注文すると天かすの入ったうどんが出てきますが、関西で「たぬきうどん」というメニューは基本的にありません。では、関東の「たぬきうどん」に当たる関西のメニューは次のどれでしょう?

①かすうどん

②ホルモンうどん

③ハイカラうどん

正解はこちら!!