公益社団法人として独自の規格制度認定
公益社団法人全関東電気工事協会(沼尻芳治会長)が、電気設備の保安と信頼度向上について、機能性・作業性・美観などの品質向上をはかることを目的に、昭和59年に発足した「優良機材推奨認定制度」は現在、EEポール、合成樹脂製電力量計取付板、隠蔽配線用合成樹脂製電力量計計器箱、電線接続コネクター、高圧負荷開閉器などを認定品としている。
全関優良機材推奨認定品は、鋼管ポールに始まり、現在では合成樹脂製電力量計取付板、電線接続コネクター、SOG付高圧負荷開閉器、隠蔽配線用合成樹脂製電力量計計器箱などが加わり、広がりをみせている。
認定制度がスタートするきっかけとなったのは、昭和58年9月に起きた同協会員の工事中の事故だ。
この事故の原因は架設用のポールに使用した木柱の腐朽による損傷であった。そこで同協会は、鋼管ポールを使用すれば大丈夫だと考え、鋼管ポールの既製メーカーをあたり、松下電工(当時)、日本ネットワークサポートなど集めて協議、その結果鋼管ポールを使用することとした。
同協会が事故以前に策定した「昭和58年度事業計画」の中にも「機器材料の規格標準と優良機材の普及」という項目が盛り込まれていたこともあり、鋼管ポールの規格を作った。これが優良機材推奨認定品の第1号となった。鋼管ポールは後に、EEポールといったネーミングとなり、盤メーカーである内外電機や内田鍛工、東神電気なども加わった。
さらに同協会は昭和59年6月には「優良機材推奨認定業務規定」を制定。昭和60年9月には鋼管ポールについての優良機材推奨認定制度での「規格」を作った。これが「規格」を持つ優良機材推奨認定制度の始まりとなった。
ちなみに、EEポールとともに第1号の認定を取ったものに「電線接続コネクター」があるが、JIS規格や電取マークに適合していたため、新たな規格づくりは行われなかった。
この電線接続コネクターの優良機材として昭和58年12月に認定された第1号はワゴ・ジャパン。その後、オーム電機、カワグチ、未来工業なども参入し、認定を受けている。
次に認定されたのは「合成樹脂製電力量計取付板」。当時、あまり材質的に良いものがなかった合成樹脂を改良し、昭和61年10月に優良機材推奨認定第1号の規格とした。
SOG付高圧負荷開閉器として「開閉器PAS(架空線用過電流ロック形高圧交流気中開閉器)」がそれに続く。送電線や配電線は電力に幾分余裕がでてきたことと、パワーが上がってきたことにより、当然ケーブルを太いものに替えたり、設備を大きくする必要が生じた。その際に新しいものに取り替え、使用しているので停電事故は減少している。
しかし、その半面、自家用についてはその限りではなかった。そのため、総体的な事故が減っている一方で、自家用の事故はかえって目立ち、また、それが波及事故につながった。
これを減らすため、昭和58年2月に「重要施設における電気設備についての指針」に基づき、当時の東京通産局施設課長が主査となり、「高信頼度電気需要設備検討委員会」を設け、事故分析などの検討に入った。
さらに、翌年の昭和59年5月、「自家用波及事故防止対策検討委員会」を設置、同年12月に対策案を答申した。昭和60年度に入り、東京通産局(当時)では、電気安全関東委員会と協力して関東地区の高圧需要家にこの施設基準の遵守を呼びかけていった。
同協会でも優良機材推奨認定品として「開閉器PAS」の規格を決め、戸上電機製作所の製品を第1号に認定、翌年にはさらに6社を認定した。
その後、平成2年9月に「開閉器PGS(架空線用過電流ロック形高圧ガス開閉器)」の規格が作られ、平成3年1月、三菱電機が第1号の認定を受けた。
さらに、平成3年9月には高圧キャビネット内に取り付けられる「開閉器UGS(過電流ロック形高圧交流ガス開閉器)」の規格が決められた。この第1号は東光電気と三英社製作所であった。続いて「地中線用GR付高圧負荷開閉器施工技術指針」も制定されるなど、SOG付高圧負荷開閉器は全関優良機材推奨認定品となっていくが、平成5年9月、新たに「PL・PAS(避雷器および制御電源内蔵形の過電流ロック形高圧交流気中開閉器)」も加え、平成5年1月、東光電気と三英社製作所の製品が認定された。
その後、平成7年4月には「V・UGS」を、また平成8年9月には「PL・PGS」を、平成13年には「L・PAS」を設け、現在は後に名称を改めたものを含め9タイプのSOG付高圧負荷開閉器が全関優良機材推奨認定品に名を連ねている。
なお、平成17年には、新たな優良機材推奨認定品として、隠蔽配線用合成樹脂製電力量計計器箱が加わり、同年12月に河村電器産業の商品が、平成18年9月には日東工業の商品もそれぞれ認定品となり、現在はパナソニックスイッチギアシステムズ、未来工業の2社も加わり、合計4社が認定されている。
平成17年12月に新たに規格制定された「隠蔽配線用合成樹脂製電力量計計器箱」は、引込口配線の隠蔽化が定着化しつつあり、建物と調和が取れた美観へのニーズ、また、隠蔽配線とした場合の建物への雨水侵入や、計器取付板の裏側からの入線することによるケーブル曲げ半径や、くせ取りなどの施工面においても課題が出ていた。
このため、平成16年度に同協会、河村電器産業、東電の3者において、施工面や保守面、さらに建物と調和の取れるデザインの計器箱を研究開発した。
この結果、平成17年9月に改訂された内線規程の付録(東電管内)に、隠蔽配線の場合の施工方法や、計器取付板の構造(推奨)が示された。このことを受け、平成17年12月に「隠蔽配線用合成樹脂製電力量計計器箱」全関規格が制定された。
規格の主な特徴は、①隠蔽配線で使用するもので基板とカバーを組合せて使用する②基板について、壁内から出てくる電線の処理がし易いように、また、電力量計の取替を無停電で行う工具の使用などに配慮し、入出線口を計器取付板面より一段下げた構造とすること③造営材から電線を保護し、造営材内部への雨水の浸入を防ぐため貫通材を付属し、貫通材は防水処理が容易に行える構造とすること——となっている。
現在の優良機材推奨認定メーカーは23社(1社で2機材認定されているメーカーもある)。機種別の扱いメーカー数はEEポール4社、合成樹脂製電力量計取付板10社、隠蔽配線用合成樹脂製電力量計計器箱4社、電線接続コネクター3社、高圧負荷開閉器(各種)6社となっている。