完全週休2日制は64%
1カ月の時間外労働 80時間超が49%
日本電設工業協会(JECA)はこのほど、協会員各社を対象に実施した「働き方改革フォローアップ調査」の結果を公表した。
1、協会員の施工(内線工事部門)現況
①在籍技術者数
50人以下が52%を占める。
②年間受注高
5億円~50億円が54%だが、受注高に幅がある。
③受注する工事
500万円未満の工事 66%
〈件数割合〉
●(1)元請:52%/下請:48%
●(2)新築:24%/保守改修:73%/その他:3%
●(3)公共工事:22%/民間工事:78%
2、就業規則上の労働条件の現況
①休日の取扱い
就業規則上で完全週休2日を取入れているのは64%であり、これは建設業全体の値(平成29年厚労省就労条件総合調査)33.1%に比べ高い状況である。
●(1)完全週休2日制:64%
〈他の休日の扱い〉
●(2)変形労働時間制(1か月単位、1年単位等) 17%
●(3)週休2日(月に1回以上週2日の休日がある状態):16%
●(4)週休1日(1日の所定労働時間を短く設定):3%
一方、各都道府県内を主に営業展開している団体会員の企業では、完全週休2日制(17%)が低く、変形労働時間制(48%)が高い状況である。
②36協定上からみた時間外労働の現況
建設業では5年後より上限規制が適用され、時間外労働は「月45時間・年360時間」が上限となり、特別条項付き36協定を締結することで労働時間の上限を増やすことができるが、「年間720時間、月100時間未満、かつ2~6カ月平均で80時間以内」に対応せねばならない。
現況は、特別条項において年間の延長時間720時間超としている企業会員が55%と高い状況である。(表1)
3、現場の勤務実態
①時間外労働
時間外労働の上限規制の適用への対応として、段階的に時間外労働時間の削減をはかり月の残業時間80時間を超さない労働環境の確保を進めるが、現状は次の通り。
●(1)1カ月の時間外労働の最大値(2018年11月度)
80時間超:49%(表2―1)
●(2)技術系社員の時間外労働が多くなる理由
時間外労働が多くなる理由の上位3項目によって得た結果は「人員が不足のため」(60%)が最多、「技術者の業務量が多いため」(41%)、「発注者からの不規則な要望に対応する必要があるため」(22%)と続く結果となる。(表2―2)
②現場での週休2日の導入実態
建設業就業者の長時間労働は、週休2日が建設現場で普及していないことが大きな要因となっており、また、週休2日は若者が職場に魅力を感じるための大きな要素であり、その実態は次の通り。
●(1)現場における週休2日(土曜日に限らず)の実施状況
週休2日は現時点では「ほとんど実施されていない」(37%)であった。(表3―1)
●(2)週休2日が進まない理由
週休2日が進まないおもな理由として「工程が厳しく組み込めない」(63%)が示され、また協会員が受注する工事は約7割が改修工事である状況を反映し「施設休業日にしか作業できない」(37%)の回答を得ている。(表3―2)
4、女性技術系社員の採用促進
回答者数が少なく全体値を示す値ではないが、回答を得た企業の内、女性技術者が在籍する企業では女性の割合は7%であった。(表4―1)
また、現在、各企業では技術系女性の採用意識が高まっており、今後CAD・製図を中心としさらには積算、現場管理業務の担当へと期待が高まっている。(表4―2・4―3)
5、生産性向上に向けた取組
①生産性向上に向けた取組み状況
7割の会員が定期的に社内会議等を開き取組みを進めている。(表5―1)
②取り組み中の事例
各取り組みの詳細事例は表5―2の通り。
③取り組む上で障害となる理由
5割強の会員が「それらの取組みコスト負担の大きさ」「自社だけでは取り組めない」を課題としており、個々での取組みの難しさが示された。(表5―3)
6、工期遅れを引き起こす要因
電気工事は前工程遅れによる“しわよせ”を受けやすいが、その「工期遅れを引き起こす要因」での最多回答は「発注者による追加・変更指示があった」(58%)であり、過去行った調査でも最多回答であった。全体として幾分改善の傾向を示している。その他意見では「人材不足による資機材の調達納品の遅れにより工程に影響を受けている」との回答もあった。(表6)