セキュリティシステム特集 年々高まる 防犯への意識

先月、東京ビッグサイトで「第26回セキュリティ・安全管理総合展 SECURITY SHOW 2018」が開催された。パナソニックやアイホンなど約200社が出展し、多数の来場者を集めた。一般ユーザーの防犯への意識が年々高まっている中、各県の電材組合でもセキュリティ関連をテーマにした研修会が行われている。

「SECURITY SHOW 2018」は防犯カメラや入退管理システム、ホームセキュリティなど、社会の「安全・安心」を実現する最新の製品・サービスを紹介するもので、日本を代表するセキュリティ関連企業が集まる「総合セキュリティゾーン」に加え、AI技術による顔認識などで注目の「ネットワークカメラ&映像クラウド」「画像・映像テクノロジーEXPO」などで、最先端のセキュリティ情報を総合的に発信した。
セキュリティ関連の展示会としては、6月7・8の両日にインテックス大阪で「防犯防災総合展 in KANSAI 2018」が開催される。
近年の社会経済情勢の変化は、一方で犯罪の多様化や巧妙化を招いている。工場、倉庫、資材置き場等への不審者の侵入・放火が相次ぎ、商品等への異物・毒物混入などは企業の社会的責任の根幹を大きく揺るがすものとなっている。
2020年に東京オリンピックが開催されることもあり、より高度なセキュリティの構築が求められるといえる。
法務省発行の「平成29年版 犯罪白書」によると、刑法犯の認知件数は,平成8年から毎年戦後最多を記録、14年には285万4061件にまで達した。その後、15年に減少に転じ、14年連続で減少しており、28年は戦後最少の99万6120件で前年比10万2849件(9・4%減)の減少となった。これは、刑法犯の7割以上を占める窃盗の認知件数が大幅に減少し続けたことにともなっている。
刑法犯の発生率の動向は認知件数とほぼ同様で、8年から毎年上昇し14年には戦後最高の2238・7を記録したが、その後は低下に転じて25年からは毎年、戦後最低を更新している。
過去30年間の窃盗の認知件数ならびに検挙件数、検挙率の推移を見ると、7年から13年までは認知件数の増加と検挙率の低下が続いた。その後、14年から検挙率が上昇に転じ、15年から認知件数が減少に転じた。
28年の認知件数は戦後最少の72万3148件で、前年比8万4412件(10・5%減)の減少となった。
また、同年の検挙率は前年より0・9ポイント上昇して28・9%であった。
28年における窃盗の認知件数の手口別構成比は非侵入窃盗が約半数を占めている。手口としては㈰自転車盗㈪万引き㈫車上ねらいの順に多い。
最近20年間の侵入窃盗,乗り物盗及び非侵入窃盗の別に認知件数の推移を見ると、各認知件数は13〜14年をピークに減少している。自動販売機ねらいは11年、自転車盗は13年、車上ねらいは14年をピークにそれぞれ大きく減少している。万引きは16年以降おおむね横ばいで推移していたが、近年は減少傾向にある。
平成28年における窃盗の検挙件数の手口別構成比は、非侵入窃盗が68・0%を占めている。手口としては、㈰万引き㈪車上・部品ねらい㈫空き巣の順に多い。

警備サービス業最大手のセコムは昨年末、20代以上の男女500人を対象に「日本人の不安に関する意識調査」を実施した。
このなかで、今後治安悪化や犯罪増加の可能性があると思うかという問いに対して「そのように思う」が17・6%、「どちらかといえばそのように思う」が62・2%と全体の約8割が治安悪化や犯罪増加を懸念している結果となった。
その一方で、防犯対策の有無については、「防犯対策をしていない」が72・2%にのぼり、一昨年、昨年に続いて防犯対策を行っていない人が増加している。今後の治安の悪化、犯罪増加の可能性は感じつつも、経費等との兼ね合いもあって実際に対策を講じるまでには至っていない現状がある。

各県の組合でもセキュリティ関連をテーマにした研修会が行われている。兵庫県電設資材卸業協同組合は昨年秋、パナソニック エコソリューションズ社から講師を招いて研修会を実施した。
研修会のねらいについて組合関係者は、「安心・安全を支えるインフラにかかわるためにもっと勉強すべき内容すべきであり、しっかり知識を身に着けてインターネット通販との差別化を図っていきたい」とあいさつしていた。
今後、「工・製・販」が結束してセキュリティ関連製品にも力をいれることで業界の活性化とともに、地域の安心・安全の確立にもつながることはたしかである。

今後の治安悪化、犯罪増加の可能性(セコム調査)

窃盗 認知件数・検挙件数・検挙率の推移

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窃盗 認知件数の手口別構成比

防犯対策の有無(セコム調査)

窃盗 認知件数の推移(手口別)

窃盗 検挙の件数の手口別構成比

電材流通新聞2018年4月19日号掲載