建販電線大手4社 「副資材」の値戻しへ
やり方など、各社様々
住電HSTケーブル、SFCC、矢崎エナジーシステムなどの電線メーカー及び同メーカー系建販電線流通4社は、大幅な副資材関連製品の値上がりに伴って、値戻しの打ち出しに動き出した。ただ、値上げ打ち出しの時期、実施日、やり方、対象品種・サイズなどは、各社によって異なる。一方、値戻しに動く一部企業の感触は「顧客や品種・サイズによって温度差はあるものの、各種石化加工製品をはじめ、一般消費財が続々と値上がりしているおり、比較的にスムーズに進みそうなケースが多い」という。
住電HSTケーブル、SFCC、矢崎エナジーシステムなどの電線メーカー及び同メーカー系建販電線流通4社は、大幅な副資材関連製品の値上がりに伴って、値戻しの打ち出しに動きだした。
値戻しの打ち出し方は、住電HSTケーブルのように、「HSTブランド品(VVF、VCTは別途)を2月1日から5~7%値上げする」と具体化させているケースから、矢崎エナジーシステムなどのように「被覆材関連の値上げについては、ケーブル全般の価格に随時反映させている」としたところまであり、各社マチマチ。ただし、石化高など抱えている環境は同じため、副資材高騰の実費分の値戻しに動いている点では、4社とも一致した。
また、工事用汎用電線ケーブル向けで副資材高騰のみにともなう値戻しは、これまであまりなく、まれなケースとなった。
各社の値戻しの主な内容は、次の通り。
住電HSTケーブル=HSTブランド品(VVF、VCTは別途)を2月1日から、5~7%値上げする。ただ、品種・サイズによる。顧客には1月17日までに値上げ打ち出し要望を完了した。
同社では、値戻し要因などについて「世界経済の回復に伴う需要増と、中国のエネルギー不足やコロナによる品不足、加えて電力・ガス料金の値上がりから、石油製品の近年にない高騰が続いている。今後も、この高値は継続する見込みである。当社が取り扱う電線ケーブル用被覆材の原料となる副資材(銅テープ、PEレジン、塩ビレジン、可塑剤、塩ビコンパウンド)についても、従来にない大幅な値上げ要求を受けている。当社は、この各副資材仕入れ先の要求に対して抵抗しきたが、値上げに応じない場合は、供給停止もあり、との強い姿勢で有無を言わさない状況となっており、認めざるを得なくなっている」とした。
石化分などの値戻し^n比較的にスムーズか
SFCC=値上げ打ち出しは1月末の予定。対象製品は建販用電線主要3品種、エコケーブル、高圧ケーブルなどの見通し。値上げ幅は、およそ5%の見込み。値上げ実施は、2月中旬からの予定。同社では今回の値戻しの主因として「電線・ケーブル副材料、木製ドラム、物流費などが値上がりするなかで、製品の安定供給を継続するためには価格転嫁せざるを得ないため」としている。また、SFCCは「副資材などの高騰が要因で、昨年から段階的に値上げを実施してきた。現在も同様の高騰が続いており、引き続き値上げを予定している」という。
矢崎エナジーシステム=被覆材関連の値上げについては、ケーブル全般の価格に随時反映させている。
これからの展開について同社は「現在、物流会社から燃料サーチャージを理由に物流費の値上げおよびウッドショックによる木製ドラムの値上げ要請もあることから、今後も電線ケーブルの販売価格への転嫁を随時進めていく予定。なお、明確な値上げ幅および値上げの実施日は、現在検討中である」とした。
ほかの大手建販電線メーカーでは「石化材料やボビン・ドラムなどのアップ分に加えて、ユーティリティーコスト高などを含め、適宜値戻しを進めている」としている。
一方、値戻しに動く一部企業の感触は「顧客や品種・サイズによって温度差はあるものの、各種石化加工製品をはじめ、様々な一般消費財が続々と値上がりしているおり、比較的にスムーズに進みそうなケースが多い」という。
電線ケーブル向けドラムや銅テープなどに加え、石化材料などの副資材も軒並み値上がりしている。このうち石化材料では塩ビやPEベースレジンに加え、三酸化アンチモン、カーボン、リンなどの難燃剤と可塑剤、塩ビ系やPE系などのコンパウンド価格が大幅に上昇している。
特に塩ビコンパウンドは、大手4社が値上げした。電線グレードの引き上げ幅は、39円以上~40円以上/㎏。値上げ打ち出しは、21年12月17日~22日にかけて。値上げ実施は、1月1日~17日とした。今回の値上げは、塩ビや可塑剤などのコスト高にともなうもの。値上げ額は過去最高。とりわけ値上げ額は、通常の2~3倍に跳ね上がった。さらに、この1年間では3回目の値上げとなり、この回数も初めて。異例ずくめとなった。