三菱マテリアルは13日、火炎に接しても燃えず、溶け落ちにくい耐火プラスチック(樹脂)の製品開発に着手したと発表した。
樹脂材料は軽量化を目的に様々な製品で利用され、火炎に耐えられる樹脂材料としては、現在、難燃性樹脂が広く市販されている。しかし、従来の難燃性樹脂では火力の高い火炎に対しては耐えることが難しく、安全性を重視する部品の材料には依然として金属が採用され、軽量化が進んでいない状況にあった。
同社はこうした課題を解決するため、これまで培ってきた素材の配合技術を応用し、火炎に接しても燃えず、溶け落ちにくい耐火性能を得る樹脂技術を開発した。
新素材「耐火プラスチック」は、①軽量でありながら火炎に強く、変形しづらく、溶け落ちにくい、②火炎に接しても燃えにくいため、発火時の火炎の広がり防止が期待される、③成形が容易。(射出成形が可能)、④ハロゲンフリーで環境負荷が低い、といった特長を持つ。
具体的な用途例としては、リチウムイオンバッテリー(LIB)ケースの材料が挙げられ、1つのLIBセルが発火したとしても隣接セルへの延焼を防止する、EVのLIBの蓋に使用した場合、車体が火災に見舞われてもLIBの発火や爆発を防止する、などの効果が期待される。
同社は、この技術を活用し「耐火プラスチック」の製品化に取り組んでいき、「人と社会と地球のために」という企業理念のもと、今後も非鉄金属素材および付加価値の高い製品の開発・提供を通じて、豊かな社会の構築に貢献するとしている。