ダイキン工業 空調機の不具合監視・運転 異常予兆検出するAI開発

AI企業のJDSCと共同で

ダイキン工業・JDSCによる共同開発の概要

 ダイキン工業はこのほど、AI企業のJDSCと空調機の不具合監視・運転異常予兆検出を可能にするAIを共同開発し、試験運用を通じて業務効率化や製品対応・改善のPDCAサイクル高速化といった効果を確認した。今後、業務への本格適用とさらなる高度化を目指す。
両社は、一昨年10月の資本提携以降、IoTデータとAIを用いた空調事業のアップグレードと顧客体験の向上に共同で取組んできた。今回共同開発した市場投入製品の不具合を監視するAIならびに運転異常予兆を検出するAIは、昨年夏より実際の業務で試験運用を開始した。検証の結果、不具合監視AIは発生した事象やユーザーの声を製品対応・改善に活かす一連のPDCAサイクルを従来比で1年以上短縮することに成功した。
運転異常予兆検出AIは、従来検出できなかった故障要因や予兆の検出に成功し、その有効性と効果を確認できた。

 ●市場投入製品の不具合監視AI
大量の投入製品に対するさまざまな発生事象やユーザーの声の分析はこれまで、ビッグデータの統計解析や学習には基づいていなかったため、的確な判断に莫大な時間を要していた。今回の協業では、過去の不具合とそれにともなう製品対応のデータを学習したAIを開発し、このAIが市場対応情報(入電情報や発生不具合など)から製品対応や設計上考慮するべき可能性のある事象をアラート(警告)し、人の判断をアシストするシステムを昨年夏から業務に適用した。その結果、従来の製品対応・改善のPDCAサイクルに比べて1年以上早く対応を要する不具合のフィードバックを行えることを確認した。

 ●運転異常の予兆検出AI
空調機の不具合発生時はこれまで、機器の設置現場での確認が必須であるうえ現地確認でもわからない異常もあった。今回の取組みでは、遠隔で取得・解析可能となった運転データを活用するため、これまで人の手では膨大な運転データの解析に時間を要したものを大規模・高速に解析が可能な解析基盤を構築した。従来ではわからなかった一部異常の発生予兆の検出や異常箇所の特定を可能とするAIを構築したことにより、ユーザーへの対応をより効果的に行えるほか業務効率の改善も期待できる。
今後も機能拡張に加え、今春より現場での検証も行う。

電材流通新聞2022年3月10日号掲載