電気の豆知識 ~いつか役立つ⁉︎ 電気にまつわる雑学篇~ 「お風呂にまつわるエトセトラ」

オジサンだってキャンセルしたい

近頃、「風呂キャンセル界隈」という言葉を耳にします。オジサンがこう書いている時点でもう古いのかもしれませんが、風呂に入るのが面倒だから度々キャンセルする、つまり入浴しないという行為および入浴しない人々を指す一種の流行語で、SNS発のユーモラスな俗語です。

この言葉は多くの若者の共感を集めましたが、風呂に入るのが面倒くさい日は誰にだってあります。でも、私たち日本人は毎日入浴するのが習慣ですから、「キャンセル」は奇態なこととして世間の耳目を集めることにもなりました。

ただでさえ加齢臭が気になるオジサンが「昨日は風呂に入らなかった」と職場でうっかり口にしようものなら、「フケツ!」と引かれてしまうお国柄です。欧米の映画などを見ていると、大きくてしゃれたバスタブが登場しますが、海外ではシャワーが中心という国が多く、湯船に毎日つかる民族は世界的に珍しいようです。

日本人は風呂が大好き

皆さんご存じの通り、日本は世界有数の火山国で地熱が豊富なため、全国各地に温泉が湧き出ています。温泉にはさまざまな効能があり、その湯に浸ることで病を治したり疲れを癒したりする湯治(とうじ)という古くからの文化が今に伝わります。

ちなみに、有名な温泉の起源を少し調べてみると、その昔、白鷺(しらさぎ)が足の傷を癒していたことから発見されたという伝説がとても多く、思わず「ほんまかいな!」とツッコミそうになりましたが、すみません、きっと本当です。

清潔好きといわれる日本人ですが、私たちにとって入浴は体を清めると同時に1日の疲れを癒し、明日への活力を養う“健康習慣”にもなっています。その背景の一つには温泉文化があると考えていいでしょう。

ちなみに、湯船につかると「あ”ぁ~っ」と声が出てしまうのはオジサンだけでしょうか。

江戸時代になると銭湯が普及し、庶民が日常的に風呂に入るようになります。

江戸時代の末期、江戸の人口は100万人超とされ、銭湯は推定700軒前後。各町に1、2軒は銭湯があり、庶民の生活に欠かせない存在となっていたようです。

そうして長い間、日本人の憩いの場であった町の銭湯のピークは昭和40年代で、約1万8000軒あったそうですが、厚生労働省のホームページによれば、令和6(2024)年3月末時点で2847軒(一般公衆浴場)。今や希少な風俗文化となっています。

電気で健康増進

さて、ここまで少しも電気にまつわる話ではないので、やや唐突ですが、皆さん「電気風呂」をご存じですか。銭湯に行ったことがない若い人は知らないかもしれませんね。

電気風呂とは、文字通り、入ると体にビリビリと電気が流れる風呂のこと。もちろん罰ゲームではありません。

浴槽内に設置した電極板から微弱な電気が湯に流れ、入浴する人の体に刺激を与えるというもので、ビリビリというよりはピリピリという感じ、整骨院などによくある低周波治療を受けているようなイメージといえばわかりやすいでしょうか。血行を促進し、筋肉痛や関節痛、肩こりなどに効果があるとされています。そう、電気は治療や健康づくりにも用いられているのです。

電気風呂の発祥については諸説ありますが、海外から日本に伝わり、昭和8(1933)年に京都の温泉が国の認可を受けて初めて設置したのだとか。内風呂が普及して町の銭湯は少なくなりましたが、スーパー銭湯などにも電気風呂を設置しているところがありますので、ぜひ一度、体験してみてはいかがですか。「キャンセル」したいときなど、気分が変わっていいかもしれません。

ただし、ペースメーカーなどの医療機器を付けている人は入ってはいけないそうで、心疾患のある人、妊婦、乳幼児、体調の悪い人なども避けたほうがいいようなので、注意書きをよく読んで入浴してください。