電工さんの工具箱 第17回「暑さ対策グッズ」熱中症に気をつけよう。

職場での熱中症は増加傾向 

 屋外・屋内にかかわらず、高温の環境に身を置くことで体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節ができなくなったりして起こるさまざまな障害の総称を熱中症という。主には、めまい、失神、筋肉痛、筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛、おう吐、意識障害、まひ、手足の運動障害、高体温などの症状が現れ、最悪の場合は死に至る。

 厚生労働省によると、2018(平成30)年の職場での熱中症による死亡者数は28人。これは前年の2倍という人数である。死傷者数(死亡者数と休業4日以上の業務上疾病者数を加えた数)は1178人で、こちらは前年の2倍を超えており、過去10年間でも最多だ。業種別の死亡者数は、建設業が10人と前年同様最も多く、製造業で5人、運送業で4人。特に屋内作業での増加が目立つという。死傷者数も建設業が最多で、警備業が前年の約3倍、製造業と運送業が前年の約2倍となっている。また、過去5年間(平成26~30年)の死傷者数を見ても、建設業と製造業で全体の約4割を占めている。月別の死傷者数は7~8月が全体の約9割、時間帯別の死傷者数は11時台と14~16時台に多く発生している。なお、仕事が終わって帰宅してから体調が悪化し、病院に搬送されるケースも散見されるそうだ。

 職場でも個人でも、今や熱中症対策は必須といえる。暑い屋内外で作業をする電気工事士はなおさらだ。そこで今回は、現場作業において熱中症を予防するアイテムを紹介しよう。

業務用扇風機

引用元:スイデン VSシリーズ

 現場用扇風機、工場扇、工業扇などとも呼ばれる。大きさもタイプも多種多様だが、大別すると、三脚や一脚のスタンドタイプと床置きタイプがある。建設現場などでは三脚の大型扇風機をよく見かけるが、狭い場所や移動が多い電気工事の場合は、持ち運びやすく省スペースな床置きタイプのほうが使い勝手が良いだろう。電源がなくても使用できる充電式が便利だ。また、

扇風機以外では、移動式エアコンやスポットクーラー、ミストファン付き冷風機といった機器もある。

引用元:ダイキン工業 スポットエアコン クリスプ

ファン付き作業服

引用元:キーポイント:空冷服

 空調服とも呼ばれる最近人気の画期的な作業服。ウエアとファンとバッテリーで構成され、ウエア(上着)に取り付けられた電動の小型ファンが回って服の中に風を起こし、汗を気化させて涼しさを生み出すという仕組みなのだそう。初めて着ると、その快適さに驚くという。いろんなメーカーから発売されている。

保冷ベスト

 冷却ベスト、クールベストなどとも呼ばれる。一般的なのはメッシュ素材でできたベストで、その前面や背面などに保冷剤を入れるポケットが付いている。冬はポケットにカイロを入れることもできて重宝する。また、冷却素材が内蔵されていて一定温度で溶けたり固まったりするタイプなど、特殊な素材や構造の高機能なベストもある。

ヘルメット用送風機

転載元:東京ファン株式会社 ヘルメット冷風扇

 安全優先とはいえ、真夏の日中にヘルメットをかぶって作業をするのはつらいもの。頭部が高温多湿になり、場合によっては熱中症の原因になることもある。そこで登場するのがヘルメット用の送風機。いわば頭用のミニ扇風機だ。

ヘルメットと一体になったタイプや通常のヘルメットに取り付けるタイプなどがある。

以上のような機器や道具を上手に活用して熱中症を予防し、暑い夏を元気に乗り切ろう。もちろん、こまめに水分・塩分を補給することを忘れずに。