ピカチュウの技1000発分!

「ピィーカァーチュウウウー!」と、かわいく叫んで対戦相手を攻撃するピカチュウのひっさつ技は「10まんボルト」だ。一般家庭の電圧の1000倍である。かなり強烈なのだ。
「浮気は許さないっちゃ!」と、怒り心頭でダーリンを懲らしめるラムちゃんの電撃は、果たして何ボルトなのだろうか……。
天地を揺るがす雷の電圧は数千万ボルトから1億ボルト、あるいはそれ以上ともいわれています。1億ボルトとすれば、一般家庭の電圧の100万倍。ピカチュウの技1000発分です。
また、平均的な雷1回あたりの電力は約400キロワット時だそうで、これは一般家庭の電気使用量の約1カ月分に相当します。研究者や捉え方によって数値の違いはあるようですが、ともかく、雷は1000分の1秒という瞬間に巨大なエネルギーを生み出します。
1秒間に約100回!
日本気象協会の「雷レポート」を見ると、2025(令和7)年6月から9月の落雷の数は過去8年間で2番目に多く、西日本を中心に多発したそうです。一体どれくらいの数かというと、なんと150万回超! 特に9月が多く、70万回を超えています。これは例年の2倍以上の落雷数だそうですが、1日にすると2万回を優に超える計算になります。
ちなみに、地球全体では毎秒約100回、毎日約860万回の落雷が起こっていると推定されています。人が雷に打たれる事故も増えているらしいので、くれぐれも注意しましょう。
かみなりは、どうして起こるの?

雷のメカニズムを“こども向けの科学本”風に、ごく簡単に解説してみましょう。
湿った空気が太陽の熱で温められて空へ昇り、上空で冷やされると、空気中に含まれている水蒸気が水滴や氷の粒になります。それらが集まって雲ができます。
雲(積乱雲)の中では水滴や氷の粒がぶつかり合い、そのたびに静電気が起こります。その静電気が雲の中にたくさんたまり、たまりすぎると一気に流れ出ます(放電)。これが雷です。「ピカッ」と光って「ゴロゴロー」「バリバリー」「ドーン」など、大きな音を発します。
と、まあこんな感じですが、つまり、雷のもとは静電気。超巨大な静電気放電です。冬にセーターを脱ぐとパチパチと音がして、暗い場所だと光って見えることもあります。雷は、“セーターパチパチ”の超巨大版といえるでしょう。
雲から放たれた電気は、周りの空気を一瞬にして3万℃もの高温に熱します。熱せられた空気は爆発するように膨張し、その衝撃でさらに周りの空気が激しく振動することにより、大きな音が発生します。これが雷鳴です。
世界一長いかみなり!?
電圧、電力、温度、時間、回数――。雷を表す単位はまだあります。それは「長さ」です。
昨年の夏、世界気象機関(WMO)が、2017(平成29)年10月にアメリカで起こった雷の長さが観測史上最長を記録したと発表しました。その長さというのが実に829キロメートル! 「雷の長さ」とは、1回の雷の光が水平方向に広がる距離だそうで、つまりは稲妻の長さということのようです。こうした長大な雷は「メガフラッシュ」と呼ばれます。
この世界最長の雷は、アメリカ南部のテキサス州から中西部のミズーリ州カンザスシティー付近まで広がったのだとか。これを日本に置き換えてみると、829キロメートルといったら日本列島のざっと4分の1ではありませんか。やはり、自然の力は計りしれません。








