経済産業省の工場立地動向調査(速報)で2018年上期(1~6月期)の「製造業等」の全国工場立地件数は前年同期比0.4%増加し、リーマンショック以降、最大となった。立地面積は1.5%減と4年ぶりに減少した。金属製品、化学工業などが件数、面積ともに大幅に増加した一方、食料品は件数、面積ともに減少した。
調査は工場を建設する目的で1000平方㍍以上の用地を取得した製造業、電気業、ガス業、熱供給業の事業者を対象に実施したもの。近年の推移をみると、16年(暦年)の立地件数は前年比約5%減と3年ぶりに減少し、立地面積も横ばいと伸び悩んでいたが、17年(同)は件数で約2%増、面積で約9%増となり、両方ともリーマンショック以降、2番目の高水準となっていた。
18年上期の立地件数は前年同期比0.4%増の525件と、引き続き増えてリーマンショック以降で最大となった。ただ、立地面積は1.5%減の635㌶にとどまった。
「製造業等」の工場立地は、食料品、金属製品、生産用機械、輸送用機械の4業種で件数、面積とも全体のおよそ5割を占める。18年上期をみると、件数で構成比トップの金属製品は100件で前年同期比20件増加、面積は83㌶で16㌶増加した。また、輸送用機械は件数62件で12件増加し、面積も85㌶、9㌶増加、生産用機械は件数60件、7件増加、面積62㌶、18㌶増加となった。このほか、化学工業(34件、67㌶)、プラスチック(36件、38㌶)、汎用機械(60件、35㌶)は件数、面積とも増加した。一方、鉄鋼業(7件、3㌶)、業務用機械(8件、7㌶)は件数、面積とも減少した。その他業種(115件で8件減、166㌶で6㌶減)は減少した。
14地域ブロック別の工場立地件数の上位は関東内陸(97件)、東海(93件)の順。前年同期との比較では関東内陸が1件減、東海が13件減となった。このほか、主要ブロックでは南東北(53件で2件減)、近畿臨海(47件で7件減)、関東臨海(43件で5件増)、北九州(34件で2件増)などは前年と大きな変動はなかった。
立地面積の上位地域は①関東内陸(123㌶で9㌶減)②東海(100㌶で24㌶減)③南東北(67㌶で20㌶減)でいずれも減少した。近畿臨海(40㌶で31㌶減)も振るわなかったが、関東臨海(53㌶で25㌶増)、北九州(53㌶で3㌶増)、南九州(53㌶で23㌶増)は増加した。
都道府県別に立地件数をみると、上位は①群馬(34件)②愛知(34件)③兵庫(31件)④茨城(27件)⑤静岡(27件)。立地面積の上位は①群馬(46㌶)②新潟(43㌶)③茨城(37㌶)④岐阜(31㌶)⑤愛知(30㌶)。
なお、県内立地(本社地内での立地)は6~7割で推移。立地地点の選定理由も「本社・自社工場への近接性」(144)が最も高く、本社立地数と立地件数にも相関がみられる。次いで多い選定理由は「地価」(87)となっている。