インターホン特集

今年度こそ1000億円市場達成濃厚
インターホン工業会の活動が市場拡大下支え


2018年度のインターホン市場は、第3四半期を終えた時点で前年同期を上回るなど、着実に成長を続け、17年度は惜しくも達成できなかった1000億円に手が届きそうだ。インターホン工業会が展開する様々な事業とともに、市場規模拡大の背景を探ってみた。


インターホン工業会(市川周作会長)がさきごろ発表した統計資料によると、2018年4月から2019年1月のインターホン出荷金額の総計は、対前年同期比103%の814億円となった。「2月度の統計においても、前年同期超えを維持できそう」(金子淳一郎事務局長)なことから、17年度991億円で惜しくも届かなかった1000億円の大台をクリアできそうだ。
市場拡大を下支えしているのが、同工業会が展開している様々な事業だ。市川会長は、今年の年頭所感の中で、「工業会生産統計は、国内総需要期間合計で前年同期比104・6%(1月〜10月)となり、集合住宅向けが牽引する結果となりました」と述べている。この「集合住宅向け」の中で大きく貢献しているのがリニューアル物件だ。
同工業会では、最近特にリニューアル事業に力を入れている。一昨年には、「リニューアル=更新」をイメージさせるキャラクター「こうし・ん君」を設けた。いままでのインターホン事業は、新築や新規事業に対して展開していたが、リニューアルのPR活動にも積極的に取り組んでいくためのキャラクターとして活躍している。
さらに、「インターホンの日」を制定。より「安全」「安心」「つながり」のある社会の実現に重要な「円滑なコミュニケーション=良い通話」を支えるインターホンの普及と適切な更新を目指して、4(よい)2(ツー)8(わ)から、4月28日を「インターホンの日」に定めた。これに関連して、同工業会では、インターホンの日(4月28日)にちなみ、4月1日〜4月30日を「インターホン点検月間」とした。インターホン機器は電子機器であり、長期間の使用で機器が劣化することを周知し、適正な時期での更新の検討を提案。安全点検シートでの家のインターホンの点検を啓蒙している。
これに加えて、懸賞キャンペーンも行っている。昨年までに2回にわたって実施したが、2回目にはインターホンの日(4月28日)を契機に懸賞サイト等で紹介され応募者が急増。1回目と比べて20倍以上の応募者を記録した。この懸賞には付随したアンケートもあり、回答からインターホンの設置率、使用機種、使用年数などを集計。リニューアル事業活動に役立てている。同工業会では、2019年も“インターホンの日”に合わせた懸賞クイズを予定している。こうした地道な活動がリニューアル物件の増加を支えていると言えるであろう。
同工業会では、このほかにも、様々な事業を展開している。インターホン自主認定制度HQI(High Quality Interphone 以下HQI制度)は、インターホンが普及し、集合住宅はもとより病院や介護施設などで重要な役割を果たすようになる中で、2010年にHQD認定制度から衣替えしたもの。
その後、認定機器申請の受付により認定された製品へのマーク表示を開始し、HQI制度の運用を推進している。現在、認定対象品となっているのは、①非常警報付を含むドアホン②テレビドアホン③集合住宅用インターホン④ナースコールインターホン—の4種類。
このHQI認定制度は、工業会が定めたインターホン認定技術基準に単に適合するだけでなく、品質マネジメントシステムを導入し認証機関から認証・維持され、また、アフターサービス実施体制などが整備されたメーカーの製品を認定しようとするものだ。
工業会では、今後も各社のHQI認定取得品について積極的に紹介し、顧客に確かな機器選びの情報を提供していき、工業会の事業基盤強化につなげる。
また、同工業会は、これからのインターホン事業の方向として新たな社会的ポジションを確立しつつ持続的成長を目指すビジョンとして「インターホン工業会Vision2025」を策定している。
同ビジョンは、多様化するニーズをコミュニケーション技術で解決し、「安全」「安心」「つながり」の社会の実現に貢献することをコンセプトとしている。

【重点施策】
1、お客様との「つながり」を保ち、安心して使える環境を提案
①設備更新のしくみの構築②設備更新や保守情報の提供、啓発

2、最新技術との「つながり」による安全、安心、快適、便利の追求
①最新技術導入での付加価値拡大㈪インターホンのグローバル化推進

3、関連業界・システムとの「つながり」に取り組み、多様化するニーズに対応
②住宅設備、医療・介護等の他業界、他システムとの連携拡大㈪新市場、関連市場への拡大検討

同工業会ではこのほかにも、劣化診断資格者制度にも注力している。この制度は、同工業会が主催する劣化診断資格者認定講習会を受講し、劣化診断実務に必要な知識・技能が所定の水準に達した者を資格者として認定するもの。
平成17年にスタートし、今年で15回目を迎える同講習会は、資格者も延べ1千人を超えるなど着実な活動を続けている。劣化診断資格者になるための要件は、

①インターホン設備にかかわる実務経験5年以上
②電気工事士(第二種以上)
③消防設備士(甲種第4類)
④工事担任者(アナログ第2種含むAI第2種以上)
⑤情報処理技術者(基本情報処理以上)—のいずれかに該当しており、講習を受けることが必要となる。

今年は8月27日、東京・品川区のTKPガーデンシティPREMIUM田町4階カンファレンス4Eで開催される。

申込書は、インターホン工業会ホームページからダウンロードできる。
http://www.jiia.gr.jp/