上場会社トップに政府が参加要請 『ホワイト物流』推進運動へ

10月に賛同企業等を公表 大手電線メーカーは「検討中」など
東京五輪の開催などを控え、建販電線は好況。しかし、電線業界では物流問題などが発生、「ホワイト物流」推進運動にも期待

電線業界では物流費の値上げにともない、相応分の価格転嫁が問題になっている。そのさなか国交省、経産省等は4月、上場企業、各都道府県の主要企業の合計約6千300社の代表者に「ホワイト物流」推進運動への参加要請文書を「直接」送付したと発表した。運動はトラック輸送の生産性の向上・物流の効率化などに加え、業界の商慣習の見直しによる生産性向上の効果も期待できる、という。電線メーカー大手の反応は、事業が広範囲に及ぶためか「情報収集中」「どう対応するか検討中」などの返答になった。

既に、国交省や中企庁、公取委などでは、物流取引における荷主側に対し、「一方的な低い運賃・料金での運送委託」、「燃料費・人件費の上昇分の負担を拒む」ことなどは、法令違反の恐れがある—と注意喚起を行い、取引の見直しを促している。電線業界でも、こうした取り組みを参考にし、配送費問題の改善を図ることが求められていた。
そうしたさ中、国交省や経産省、農水省は上場企業、各都道府県の主要企業の合計約6千300社の代表者に対し「ホワイト物流」推進運動への参加を要請する文書を「直接」送付した。
この運動は、深刻化するトラック運転者不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済成長に寄与することを目的に、㈰トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化と、㈪女性や60代以上の運転者等も働きやすい、より「ホワイト」な労働環境の実現に向け取り組むもの。3省は「自主行動宣言」の必須項目に合意して賛同を表明することを要望。賛同企業名は公表される。
取組方針は、事業活動に必要な物流の持続的・安定的な確保を経営課題として認識し、生産性の高い物流と働き方改革の実現に向け、取引先や物流事業者等の関係者との相互理解と協力のもとで、物流の改善を図るとした。また、「法令遵守への配慮」や「契約内容の明確化・遵守」も盛り込まれている。
この運動への参加で、「業界の商慣習や自社の業務プロセスの見直しによる生産性の向上」や、「事業活動に必要な物流を安定的に確保する」などの効果が期待できるという。
電線メーカー大手の反応は、事業が広範囲に及ぶためか、「どう対応するか検討中」(住友電工)、「調査しているところ」(古河電工)、「情報収集中」(昭和電線)とした回答だった。
運動の今後のスケジュールは、19年10月頃に、第1回目の賛同企業の数、取組状況等の集計(締切り9月末)・公表を行う。賛同企業等は、自主行動宣書を事務局に提出のうえ、自社のプレスリリースやホームページ等で随時公表できる。
続いて20年1月頃に第2回目の賛同企業の数、取組状況等の集計(12月末締切)・公表を行う予定。これ以降も、随時公表する。

電線新聞 4167号掲載