電気設備工事会社9社 19年度業績見通し

平均営業利益率 6.2%(0.1ポイント減)
企業に温度差、首都圏偏重

電気設備工事会社9社の20年3月期通期連結業績見通しによると、全9社が増収、営業利益ベースで6社が増益とした。企業ごとに温度差があり、関東圏に基盤がある工事会社は増収増益を見込む。9社合計の売上高は2.3兆円(前年度比5.0%増)、売上高営業利益率は6.2%(同0.1ポイント減)となった。

きんでんは売上高5千600億円(同7.4%増)、営業益404億円(同0.1%増)、経常430億円(同1.2%増)とした。地域別では北海道・東北は減少するが、近畿、関東首都圏の需要が大きく伸長する見込み。工事種別では、配電工事598億円(同0.7%増)、一般電気工事3千310億円(同9.7%増)、情報通信工事417億円(同1.9%減)、環境関連工事344億円(同14.5%増)、電力その他工事231億円(同±ゼロ)とした。
関電工は7%増収、営業利益10%増とした。電力関連需要は減少するが、国内建設投資は首都圏など大型再開発事業計画が数多くあり、旺盛な設備投資需要で工場、物流施設などの建設が期待できるとした。単体の売上高予想は5千250億円(同6.5%増)で営業利益275億円(同13.9%増)。工事種別にみると、屋内線・環境設備工事2千810億円(同3・7%増)、情報通信工事440億円(同22・2%増)で増えるものの、配電線工事1千480億円(同2.6%減)、工務関係工事520億円(同8.8%減)で減少するとした。
九電工は、首都圏と九州の大型再開発案件受注を背景に2%増収、営業利益3%増を見込む。部門別にみると、配電線475億円(同0.4%減)、電気1千700億円(同2.6%増)、空調衛生1千355億円(同7.1%増)、太陽光500億円(同3.4%増)とした。
トーエネックは、中国電力の配電線工事への投資抑制を見込み、売上高2千200億円(同0・5%増)、営業利益104億円(同5.7%減)で増収減益とした。同社の単体得意先別では、中部電力730億円(同7・6%減)、一般得意先1千270億円(同7.8%増)を見込む。配電線工事は700億円(同5.8%減)とした。
ユアテックは売上高2千100億円(同2.9%増)、営業利益70億円(同25.5%減)。首都圏、ベトナムへの展開を進めるが、今後の東北電力発注工事の減少を見据え、増収減益とした。
中電工は、中国地域のリニューアル工事需要、都市圏の営業基盤拡充を支えに売上高1千580億円(同3.1%増)、営業利益81億円(同24.9%増)とした。部門別では、屋内電気工事715億円(同4・3%増)、空調管工事268億円(同15.8%減)で減少としたが、配電線工事は294億円(同12.7%増)を見込む。
四電工は、売上高850億円(同5.7%増)、営業利益32億円(同8.9%増)で増収増益とした。四国の既存顧客深耕と新規顧客の拡大に加え首都圏での受注拡大を図る。
北陸電気工事は、売上高470億円(同7.5%増)、営業利益46億円(同13.0%増)で増収増益を見込む。北陸地域のシェア拡大、大都市圏の体制構築や新規事業分野の開拓などを進める。
北海電気工事は、資材価格や人手不足による労賃の上昇で売上高595億円(同16.0%増)、営業利益5億6千万円(同50.6%減)とした。工事種別にみると、発送変電工事は86億円(同7.7%減)で減少を見込むが、配電線工事270億円(同11.4%増)が伸長するとした。

電線新聞 4176号掲載