品不足、今年一杯は続く 低圧〜6.6kV高圧とエコ EM電線出荷は最高水準

需要好調な建販電線の中で、特に「エコ電線」と「低圧〜高圧CVケーブル」が活況だ。両電線とも、品種やサイズによっては品薄になっている。電工会がまとめたエコ電線(EM電線ケーブル)出荷統計によれば、19年7月は4千74㌧(前年同月比35.8%増)となり、01年1月のEM電線ケーブル集計開始以来、最高水準に達した。業界筋では「両電線とも、今の品薄が年内一杯続く」とみている。

複数の大手電線問屋によると「エコ電線と低圧〜6.6kV高圧ケーブルが、今年4月頃から、品種やサイズによっては品薄になっている」という。
これを裏付けるように、ある大手電線メーカーでは「生産ラインはフル稼働を持続している。特にエコ電線は品種やサイズによっては品薄。残業や休日出勤で需要に対応している」という。また、ほかの大手電線メーカーは「CVケーブルは、低圧〜6.6kV高圧クラスが、例年になく繁忙になっている。ただ、造りきれないほどではない」としている。
一方、電線ケーブル用の大手石化材料メーカーでも「最近、エコ電線ケーブル用の材料は前年同月比2〜3割増で伸びている。例年になく好感触」と述べている。
電線問屋や電線メーカー、材料メーカーによって、エコ電線ケーブルと低圧〜高圧CVケーブル需要についての見解は、業種の違いや得意分野が幾分違うため、わずかに異なった。ただし、2、3カ月前と比較し、品薄感、タイト感が増しており、生産稼働率がアップしていることは、全社に共通した。

電工会がまとめたEM電線ケーブル(エコ電線)月別出荷統計によれば、今年4月以後、出荷量は大幅な伸びを示し、7月には4千74㌧(前年同月比35.8%増)と01年1月のEM電線の集計開始以来、最高水準に達した。両電線が品薄なのは、東京五輪や都市再開発、学校のエアコン設置、インバウンド等の需要が重なったためとみられる。
この情勢下、問屋筋では品薄対応策として「調達先ルートを増やして凌いでいる」という。また、品薄が続く時期については「顧客の見方は、今年一杯の見込み。ただ作業者不足で期ズレが発生した場合には、年度内一杯だろう」としている。

電線新聞 4178号掲載