送電鉄塔の「腐食劣化度診断システム」運用開始
東北電力は、AIを活用し、撮影した画像情報から送電鉄塔の腐食劣化度を判定する「腐食劣化度診断システム」(第1図)について、SRA東北と共同で開発。11 月28 日、電力業界として初めて運用を開始した。
●従来の課題
従来、送電鉄塔の腐食劣化度の判定については、作業員による目視点検などで行っていたが、判定に個人差が生じやすいという問題があった。また、送電線路全体の鉄塔の腐食傾向を把握するためには、鉄塔1基ごとの状況を確認する必要があった。
このため、送電鉄塔の塗装や部材の取り換えなどの補修工事計画を策定する際、鉄塔ごとの補修の優先順位づけに多くの時間と労力を要していた。
●本システムの特徴
同システムでは、スマートフォンやドローンなどで撮影した画像を基に、AIが送電鉄塔の腐食劣化度を瞬時に判定して個人差を解消することができる。
加えて、画像の撮影時の位置情報を自動取得し、鉄塔の情報(位置、線路名等)が判定結果とともにデータベースへ送信され
るため、各鉄塔の腐食劣化度の一元的管理が可能となる。
これにより、送電線路全体の鉄塔の腐食状況を的確に反映した合理的な補修工事計画を短時間で策定することができるようになる。
●具体的な成果
これまで約25 時間(1基あたり5時間×5人)を要していた計画作業は、同システムを活用することにより、約4時間(1人あたり2.5 基を2時間)で実施できるため省力、少人数の両立を実現した。