LED照明推進協議会 第7回JLEDSセミナー


セミナープログラム

・岩井大輔大阪大学大学院基礎工学研究科准教授
「プロジェクションマッピングによる映像と照明の融合」

・丸々もとお夜景観光コンベンションビューロー代表理事
「地域を元気にする夜景観光分野におけるLEDの可能性」

・石井優富士経済大阪マーケティング本部主任
「コンパクトリッチ空間からつながる照明の向こう側


LED照明推進協議会(佐藤雅裕理事長、JLEDS)はこのほど、大阪市北区の篠原電機本社多目的ホールで「2019年度第7回JLEDSセミナー」を開催した。

3テーマで構成されたセミナーでは冒頭、千田昌伸JLEDS広報委員長が主催者あいさつを行い始まった。

最初に、大阪大学大学院基礎工学研究科の岩井大輔准教授が講師を務め、「プロジェクションマッピングによる映像と照明の融合」をテーマに講演を行った。
岩井准教授によると、「身の回りの様々な実物体に映像投影をすることで、その見え方や質感を変えることのできるプロジェクションマッピング技術は、特に広告・エンタテイメントの分野で広く普及してきている。室内の一般照明をプロジェクターへと置き換えて生活や仕事を支援する目的で研究を重ねてきている。映像と照明の融合の試みとして、プロジェクター+IoTによる知的照明で本棚の本の背表紙にタッチすると表紙が映し出されるなど現実世界の見た目を想いのままに編集したりできる。また、車のデザインなどでクレイモデルを作らずに3Dで造形が確認できるなどの他、静止しているものを動かしたり、温かさや、硬さなどの触覚もコントロールできるのがこれからのプロジェクションマッピングの展望」と締めくくった。

次に、夜景観光コンベンションビューローの丸々もとお代表理事が「地域を元気にする夜景観光分野におけるLEDの可能性」をテーマに講演を行った。
それによると、ナイトタイムエコノミー、ナイトツーリズムという観点から注目を浴びる「夜景観光」の分野を解説。「地域に新たな夜景を創出することで宿泊客を増やし、地域の経済効果の増大に寄与する新たな夜景の創造にLEDがエネルギー消費の観点からも従来光源に比べ大規模な演出ができる可能性が高い。長崎では従来は通過型の観光地で観光客は名所を訪ねた後は博多に移動し宿泊と土産物の売上げを取られていたが、街のイルミネーションを活性化することにより着地型の観光地へと変わり地域経済への寄与した」と事例などを掲げた。

また、同協会では日本夜景遺産や日本三大新夜景など夜景ブランド認定事業を行い「夜景」をブランド化し、地域ブランディングやナイトツーリズムの活性化を行うなど「夜景」を新しいビジネスとして次々と新しい試みを生み出している。「日本の多くの都市は夜になると観光客が出かけて楽しむ所も少ない。ニューヨークやロンドンのように不夜城のごとくミュージカルやエンターテインメントの他にも夜の時間帯は『夜景』で稼ぐこと」とその大切さを語った。

最後に、「コンパクトリッチ空間からつながる“照明の向こう側”」と題し富士経済大阪マーケティング本部の石井優主任が講演。「日本の国内照明市場はLED化の完了と共に、新たな価値創出・ビジネスモデルへの構築への過渡期を迎えている。光の機能的・感性的価値の高度化、制御・ソリューション・IoT化、設備・建材・内装材美含めた空間ソリューションへの発展など様々な方向が注視されている」という。

また、国内照明器具市場は2018年の6260億円から25年には5497億円まで縮小すると予測する半面、「世界の照明器具市場はこれからで18年に8兆1141億円から25年には10兆4826億円へと膨らむ」と見る。

また、「国内の照明器具・光源市場は縮小するが、照明制御、ウエルネス照明、IoT,AIとの連携などは成長が見込まれ今後は『照明主導』で人間中心の機能的・感性的価値観の提案がどこまでできるかで日本の照明メーカーの命運が決まってくる。

従来の経緯から見ると日本の照明メーカーがいくら海外市場が伸びると予測されてもそう簡単に海外市場で売上げを確保することはできない。日本の照明マーケットは大手メーカー対専業メーカーの対峙という構図が長く続いているが、専業メーカー個々の力ではIoT、AI、制御などの複合技術の時代でどう変化するのだろか?大手メーカーVS専業メーカー連合という構図も全く考えられない事ではない時代になってきた。日本のメーカーが生き残っていくためには『ソーシャルライティングソリューション』という考え方で2015年に国連サミットで採択された「SDGs」(Sustainable Development GoalsSDGs)に対応した社会課題に対する有望な照明製品やソリューションを生み出すことが大切だろう」と説いた。

電材流通新聞2020年3月12日号掲載