LED防犯灯特集 「あかり」で夜道も安心 犯罪の抑制にも貢献


「防犯灯等整備対策要綱」が昭和36年に閣議決定されたのを受けて、防犯灯は、設置が積極的に進められた。夜道を安心して歩ける「あかり」の確保は、結果として防犯の抑制にも大いに貢献している。最近では、防犯灯のLED化が急速に進められている。


日本防犯設備協会の取組み

日本防犯設備協会の防犯照明委員会が作成している「防犯灯照明ガイド」によると防犯灯は本来、自動車が通らない、おもに買い物や通勤・通学などで使う身近な生活道路に使用される照明器具とされている。
また、昭和36年に「防犯灯等整備対策要綱」が閣議決定されたが、防犯灯は要綱の決定を受けて誕生したものとされている。

なお、同協会では、優良防犯機器認定制度(RBSS)を提案している。この制度は、表示マークがついていればある決められた仕様通りに性能が出ているということを同協会が審査し、表示するというものである。

▽製品概要
防犯灯には、A、B、B+などの照度基準が設けられている。防犯照明委員会によると、クラスAは4メートル先の歩行者の顔の概要(目・鼻・口の位置)が識別できる明るさを指し、クラスBは4メートル先の顔の向きや挙動姿勢などが分かる明るさとなっている。また、防犯灯の水平面照度は全て3ルクスとしている。
さらに、LED防犯灯が誕生したのを受けて、クラスB+という照度基準を2011年に追加したが、クラスB+は、4メートル先の歩行者の挙動・姿勢などが分かる明るさ、としている。LED防犯灯においては道路端の明るさの基準値としてクラスBプラスを新たに追加することにより、安全・安心を確保することができた。
防犯灯を取り付ける高さは、道路交通法で、自動車の通行に支障を及ぼさないように決められている。このため、高さは、4・5メートル以上となっているが、自動車の通らない路地裏などでは、それよりも低いところに設置されているケースもある。
照度については、防犯灯の取り付ける位置が高い、低いでだいぶ変わってくるため、4・5メートルに設置した時に3ルクスの照度が得られることが必要である。
設置間隔については、各メーカーのカタログで「クラスBプラスを満足するためには、何メートル間隔で設置して下さい」といった内容の説明が書いてあるが、同協会技術標準「SES E1901-3」においても、設置間隔を具体的に設けている。当然、光束値の高いLED防犯灯であれば、設置間隔もより長くなる。防犯灯の設置については、生活道路ということもあり、地方自治体、町内会、自治会が設置を決めている。
昭和36年に閣議決定された「防犯灯等整備対策要綱」だが、戦後は街が暗く窃盗や痴漢、空き巣などが多かったため、防犯灯が誕生したことで自分の町は自分達で守るという考えが自治体や町内会に浸透したといえる。

日本照明工業会の取組み

日本照明工業会では、高品質LED防犯灯の性能要求指針「ガイドA137-3」を制定、第1版として発行している。
この指針は、LED照明器具の調達基準とすることを目的として定める高品質LED照明器具の性能要求指針のガイドのひとつで、高品質LED防犯灯の性能要求指針を示すものとなっている。
LED照明器具の重要な品質(性能)要素には、機能(効率、快適性ほか)、安全性、信頼性(耐久性、寿命要素ほか)などがあり、使用者によって必要な品質項目と基準が異なる場合もあるが、我が国での一般的な調達で必要な品質条件を定める、としている。
品質確認の実施については、適用範囲、性能項目、性能項目に対する要求事項、性能項目を確認するための試験規格及び参考規格、必要に応じて指定する試験条件、試験の合否を判定するための試料数及び合格基準、試験の実施主体などがある。
また、性能要求指針としては、適用範囲、性能項目とともに、固有エネルギー消費効率、全光束、光源色、演色性、寿命、耐久性、安全性などの性能項目に対する要求事項がある。
附属書Aでは寿命試験の早期判定方法を、附属書Bでは高品質LED照明器具に用いるLEDモジュールを、附属書Cでは照明器具の測光方法を、附属書Dでは高品質LED照明器具に用いるLED制御装置の耐久性試験を、附属書Eでは高品質LED照明器具の耐久性試験の区分をそれぞれ規定している。
最後に、高品質LED照明器具の性能要求指針の解説としてこの指針の目的、適用範囲、全光束及び効率の規定の方法、効率・設置間隔及び全光束・照度基準の要求値、光源色、演色性、寿命及び光束維持率、耐久性、安全性、部品などを紹介している。
なお、同工業会では、地震などの災害時の大規模停電の発生に備える「蓄電池内蔵防犯灯」や街路灯を活用することで、市街地全体の防災のあかりを検討する考えである。

市場動向

販売ルートについては、基本的には、他の施設用照明器具と同様、メーカーから電材店を経由して、電気工事店が設置するといった電材ルートが中心になる。このため、施主発注というのはほとんどないといえる。
保守・点検、ランプの交換については、自治会が所有しているものは最終的には電気工事店が行うが、地方自治体が所有している防犯灯は直営の部隊でランプ交換などを行っているようだ。
防犯灯の市場規模については、具体的な数字が捉えられていないが、一般的には、1100万灯ともいわれている。この数字には道路灯なども含まれているため、単に防犯灯だけの数字は明らかにされていない。
また、出荷規模については、日本照明工業会でも防犯灯だけの数字はカウントされていないのが実態だ。
LED防犯灯の単価はは、普及価格帯の定価レベルで1万円台が主流となっている。参入メーカーについては、防犯灯がLED化される前までは日本照明工業会加盟のメンバー10社くらいだったが、現在は小さな会社や商社を数えると多くの企業が販売している。
従来は、蛍光灯や水銀灯が中心だった防犯灯だが、電力会社(10社)が新電気料金区分として10VAを作ったため、現在はほとんどがLEDに置き換わっている。つまり、この10VAは、蛍光灯や水銀灯では達成できないので、10VAの数イコール純増LED防犯灯ということになる。
また、防犯灯がLED化したことでのメリットについては、コンパクトになったこと、軽量化したことが挙げられる。蛍光灯20Wは、60センチくらいの長さだが、LEDにすると半分くらいになる。現在は、かなりデザインが集約されてきたが、LED防犯灯が出始めた当初はドーナツの形をしたものや鉢巻状のものなどもあった。突き詰めていった結果、現状はほぼ同じようなデザインが採用されている。