20FY総計62.3万t(10.2%減)、74FY水準  電線工業会調べ主要7部門出荷 

コロナ禍
建販29.92万t(12.6%減)、11FY並み
電気機械、車は下期戻るも

電線工業会がまとめた20年度(4~2月実績および3月分推定)の銅電線主要7部門別出荷数量は、総計62万3千561㌧で前年度比10.2%減となった。これは第1次オイルショック(73年10月~74年8月)の74年度当時の水準(61万7千923㌧)となり、46年前の低さに戻った。7部門すべてが減少した。

部門別動向をみると、通信は、上期が7月を除き増加で推移したものの、下期はすべての月が前年を下回り、同1.4%減となった。上期はGIGAスクール用LANケーブルと5G向け携帯電話の基地局用高周波同軸ケーブルが好調だったものの、下期にGIGAスクール用LANケーブルの需要がピークアウトし第4四半期に大幅に低下したのが響いた。

電力は、洋上風力発電向けやCVへの張り替え需要、保守メンテナンス用途などが、ひと頃よりも動くものの、上期の落ち込み分をカバーできず、同5.2%減となった。

電気機械は9月以降、自動車の電装用途と半導体製造装置やセンサー類、工作機械向けのFAロボットケーブルが動いたうえ、医療向けも下支えし、7カ月間連続で増加したが、4~8月までの大きな落ち込みを挽回できず、13万104㌧で同3.6%減少した。これは第1次オイルショックの74年度当時の13万6千42㌧に次ぐ数値で、46年前のレベルになった。

自動車は、10月から需要が立ち上がり、下期は2月のみが前年を割り込み、3月まで好調に推移したものの、上期に6カ月連続して減少したのを補えず、同8.8%減少した。自動車生産台数の増加に連鎖し10月以降、需要は回復傾向だが、半導体工場の火災事故にともなう影響が懸念されている。

主力の建販は、コロナ禍などによる工事の遅れや人手不足があり、電設ルート、市販ルートともに鈍化し、4カ月連続で前年同月を下回り、29万9千286㌧で同12・6%減となった。30万㌧を割り込み、東日本大震災が発生した11年度レベル(29万6千850㌧)になり、9年ぶりの低水準になった。

その他内需も、コロナ禍が響き、民間の設備投資が減少して12カ月すべてがマイナスとなり、4万1千254㌧で同16・9%減少した。これは65年度(4万3千891㌧)水準に下降した。

輸出は、コロナ禍により、1年を通じ増加が一カ月のみになり、1万2千209㌧で同27・1%減となった。

電線新聞 4238号掲載