電設・ウォッチ! 第2回 人手不足をどうやって解消するか?

4・技術革新による人手不足の解消 
「非接触電力伝送」という言葉があります。これは電気をワイヤレスで機器に供給するシステムのこと。現在はまだ携帯電話や電気自動車の充電に使われている程度ですが、今後技術が進歩すれば、もっと大規模な送電に利用できる可能性があります。技術は日々進歩しています。人手を必要としない技術を推進することは、人手不足解消の切り札になる可能性を秘めているのです。

いかに人を使わないで作業効率を向上させるか、あるいは人の代わりをしてくれるモノを作るか。

東神電気が今夏発売する補助器具「アームキーパー」 ダウンライトの設置など、上向き作業の効率化が期待できる

後者の場合、まず思いつくのはロボットでしょう。ロボットというと、私たちはアニメやSF映画などに登場する高度なものを思い浮かべがちですが、最近では安価な製品が開発されるようになりました。とくに東日本大震災以降、ロボットに関する技術は飛躍的に進歩したといわれています。

危険な場所、狭い場所での作業をロボットにまかせ、人間は安全な場所で作業する。それによって若者から敬遠される業種から脱却できるだけでなく、より多くの優秀な人材を確保する手助けにもなるはずです。

次に「ITの活用」があります。

電気は一般的に成熟した技術といわれ、なかなかイノベーションが出にくい分野でした。こうした中でITの導入により、新しい電気供給システムとしてスマートグリッドが出てきたのです。これはスマートメーターやEMSの通信・制御機能を付加した電力網のこと。事業所や工場などにおいて、エネルギーの供給源から末端消費部分までを通信網で一括管理するシステムのことです。

これにより個々に必要であった工事・メンテナンスを集中して対応できるようになり、大幅な人員の削減が可能になります。コスト面などさまざまな問題もありますが、今後に期待できる人材不足解消法といえるでしょう。

5・若者に魅力のある業界に
人手不足解消の王道、それは「何よりも若者に魅力のある職場であること」ではないでしょうか。そのために企業は何をすればいいのか?

給与面の問題、安全性の向上と男性イメージからの脱却、福利厚生の充実…さまざまなことが思い浮かびます。しかし何より重要なことは、この電気工事業界が若者にとって「将来を託せる夢と生き甲斐のある職場」であること。

全日本電気工事業工業組合連合会(全日電工連)でも、こちらのページなどで「電気工事」という仕事の魅力や社会での役割について学生や若者に向けてPR活動をしています。

全日電工連が制作した「電気工事士」をPRするチラシ

企業は個々の利益だけを追求するのではなく、業界全体として「将来の担い手の確保・育成に向けて全力で取り組む」ことが、求められているのではないでしょうか。