昭和電線CS メタル通信ケーブル生産冨士電線に再編 

冨士電線 仙台拠点設け3工場態勢へ
甲府はメタルLANに特化

昭和電線CS 川瀬 幸雄社長

冨士電線 兒玉喜直社長


昭和電線ホールディングス(昭和電線HD)は9月27日、22年4月1日までに昭和電線ケーブルシステム(CS社)のメタル通信ケーブル製造事業を、冨士電線へ譲渡させることを決めたと発表した。CS社を事業譲渡会社、冨士電線を事業譲受会社とし、CS社のメタル通信ケーブルに関わる製造事業を冨士電線に譲渡する。さらに同日、この事業運営の合理化を目的にCS社仙台事業所内のメタル通信ケーブル製造事業を、同事業所内で冨士電線が新たに運営する仙台工場に移管する同事業譲渡も決定した。また、CS社ブランド製品は、冨士電線に製造を委託し、引き続きCS社で販売を続ける。


昭和電線ケーブルシステム(=CS社、本社 神奈川県川崎市、川瀬幸雄社長)と冨士電線(本社 神奈川県伊勢原市、兒玉喜直社長)、青森昭和電線の再編については、具体的には冨士電線に、CS社と青森昭和電線2社のメタル通信ケーブル製造、開発事業を譲渡させる。冨士電線は、これにともなってCS社仙台事業所内に、仙台工場を設ける。従ってCS社のメタル通信ケーブル工場は、冨士電線の仙台工場となる。CS社では、漏えい同軸ケーブルやCCP、PEC、TKEV、移動体通信・防災無線システム用漏洩同軸ケーブル(LCX)、道路交通情報用らせん漏洩同軸ケーブル(SLCX)などを開発・生産しているが、これらを冨士電線仙台工場で生産する。

また、冨士電線仙台工場では、青森昭和電線が製造している同軸ケーブル、FA/BAネットワークケーブル、弱電計装用ケーブル、マイクロホン用ビニルコードも生産する。青森昭和電線は21年12月末に解散し、来春頃までに清算する。

冨士電線の甲府工場は、青森昭和電線が製造しているLANケーブルも生産し、メタルLANケーブルの開発・生産に特化する。これにともない冨士電線は光LANの製造については、CS社仙台事業所に移管する。

今回の再編で、冨士電線の生産・開発拠点は、今までの2拠点から3拠点になり、仙台工場が新たに増える。主な開発・生産品種は、①本社・伊勢原工場(神奈川県伊勢原市)が消防用電線ケーブルなど。②甲府工場(山梨県南アルプス市)は、メタルLANケーブル及びその機器加工など。③仙台工場(宮城県柴田郡柴田町)は汎用同軸、弱電計装用ケーブル、CCP、TKEV、漏えい同軸などとなる。3工場態勢になるため、冨士電線の社員数は、現状の281人(21年3月末)より増えることになる。

昭和電線CS社に 光LAN類を移管

CS社の仙台事業所(宮城県柴田郡柴田町、社員数320人)は現在、工場敷地面積49万6千㎡に、メタル通信ケーブル(漏えい同軸、CCP、PEC、アルミパイプ同軸、海底・水底通信ケーブル)、電力ケーブル(ACSR、銅配電線)、光ファイバケーブル類(テープスロット、スロットレス、ローラブルリボン、層型、架空・ドロップ、光デバイス)、裸線の各工場がある。このうちメタル通信ケーブルの工場が、冨士電線仙台工場となる。CS社仙台事業所の光ファイバケーブル工場には、冨士電線の光LAN製品類の生産が移管される。
なお、昭和電線HDでは昨年11月、通信・産業用デバイス事業セグメントの主力である通信ケーブル事業で、22年3月末を目途に昭和電線グループを横断した開発および生産拠点の再編を行うことを決定していた。

電線新聞 4255号掲載