電気の豆知識 ~いつか役立つ⁉︎ 電気にまつわる雑学篇~ 「こたつとミカンとオカンの話」

“こたつでミカン”は今いずこ

日本の冬の過ごし方は、“こたつでミカン”と決まっています。かと思いきや、「ウェザーニュース」が2018(平成30)年に行った調査によれば、全国の49%がこたつを持っていないというではありませんか。もしかすると現在は50%を超えているのかもしれません。

ひと昔前はどこの家庭でも、寒い時期になると押し入れから1年ぶりにこたつが登場し、お茶の間のテレビの前にうやうやしく設置されたものでした。籠に入ったミカンを乗せれば完成です。土曜日の夜ともなると、そこに家族みんなが集まって「8時だョ!全員集合」を見ながら大笑いしていました。古き良き一家だんらんです。今はもう“お茶の間”からして時代錯誤なのかもしれません。洋風のライフスタイルが定着して畳の部屋が少なくなったことや暖房器具が多種多様になったことなど、理由は幾つか考えられますが、ともかくテレビ離れだけでなく、こたつ離れも進んでいるようで、なんだか寂しい気がします。

ちなみに、前述の調査によると、こたつ保有率が最も低いのは北海道でした。意外ですが、寒さが厳しい北海道では家全体を一日中温めておく必要があるからのようです。

オカンの言うことは、いつだって正しい

「こたつで寝たら風邪ひくで!」というオカンの声で起こされる……。こたつ“あるある”ではないでしょうか。こたつに入っているとポカポカして気持ち良くなり、いつの間にかウトウトと眠ってしまうのは、なぜでしょう? これは、ごく簡単に言えば、足が温まると体内の血液が足の方へ集中して脳に血液が回りにくくなり、脳内の酸素が不足して脳の働きが鈍くなった結果、眠くなるのだそう。

“こたつで寝たら風邪をひく”に医学的根拠はないようですが、こたつに入って寝ると知らないうちに多くの汗をかくことや、上半身は布団をかぶっていないことを考えると、オカンの言うことは正しい気がします。それに、汗をかき続けて脱水症状になると、血液中の水分量も不足して、いわゆる“血液がドロドロ”になり、最悪の場合は脳梗塞を引き起こすこともあるそうなので注意が必要です。

最初のこたつは電気じゃなくて炭火

こたつの熱源はもちろん電気ですが、古くは「火燵」などと書き、起源は電気のない時代にまでさかのぼります。それは500年以上も前の室町時代で、囲炉裏(いろり)の上に脚のついた台を置き、着物をかぶせたのが最初とされています。

江戸時代以降は、囲炉裏の上に櫓(やぐら)を組んで布団をかけた「やぐらごたつ」、囲炉裏の位置を床より低くした「腰掛けごたつ」、また、囲炉裏ではなく火鉢を熱源とした移動式の「置きごたつ」など、さまざまな形のこたつが考案されます。やがて電気が生まれ、大正時代の後期に電気を利用したこたつ用のヒーターが登場しますが、あまり普及はしなかったようです。

昭和の中頃には画期的なアイデア商品が発売されます。それまで、やぐらの下にあった熱源を、逆転の発想でやぐら側に取り付けたのが、1957(昭和32)年に販売された東芝の「電気やぐらこたつ」だそうで、それ以降のこたつの原型となりました。

こたつとミカンの相関関係

冒頭でお話ししたように、昔に比べると需要が減っているこたつですが、そのぶん、洋風や家具調をはじめ、椅子に座って入るハイタイプや一人用のコンパクトタイプ、天板の形も長方形や楕円や丸などバラエティー豊かで、もちろんカラーも豊富。デザインも機能も驚くほど進化しています。

一方のミカン。昔に比べるとミカンの消費量も大幅に減少しています。それは、“こたつでミカン”のこたつが減ったから、という説もあるようです。