電気の豆知識 ~いつか役立つ⁉︎ 電気にまつわる雑学篇~ 「信号機のなんだかんだ」

緑色の青汁

真っ白いスーツに身を包んだコワモテの男が緑色のドリンクを一気に飲み干して一言、「まずーい、もう一杯!」という、強烈なインパクトのテレビCMをご存じでしょうか。古くてすみません、’90年の話です(今もYouTubeで見られました)。男の名は「悪役商会」のリーダーで俳優の八名信夫さん。緑色のドリンクは「キューサイ青汁」です。しかし、緑色の野菜を絞って作る緑色の飲み物なのに「青汁」なのです。なんの話? そういえば信号機もですね! というわけで本題へ。

緑色の青信号

青汁は最初から青汁ですが、青信号のほうは調べてみると、やはり、もともとは「緑信号」だったようです。
日本に初めて電気式の交通信号機がお目見えしたのは、今から90年以上前の1930(昭和5)年3月のこと。それ以前は「進メ」「止レ」などと書いた木の板を手で操作していたのだとか。アメリカから輸入された信号機は縦型の3色で、東京の日比谷交差点に設置され、当初は法令で赤・黄・「緑」とされていたそうです。しかし、新聞記事などで「青信号」と報じられたことからこの呼び方が広まり、その後、法令も「青」と書き換えられたというのが定説のようです。青汁、青野菜、青葉など、緑色の物を青と表現する日本の風習とも関わりがあるのかもしれません。海外では「グリーンライト」や「グリーンシグナル」と呼ばれます。
ちなみに、世界初の信号機は1868(明治元)年にイギリスのロンドンで馬車の交通整理用として設置されました。電気式ではなく灯火式で光源はガス。赤と緑の2色だったといいます。

世界一信号機の多い国

日本は、世界で最も信号機が多い国なのだそう。警察庁の「都道府県別交通信号機等ストック数」を見てみると、令和2年度末現在、車両用と歩行者用を合わせた信号機の総数は20万7848基。……正直、多いのか少ないのかよくわからない数ですが、一番多いのはもちろん東京都(警視庁)で、その数1万5984基。次が愛知県で1万3245基。その次が北海道で1万2984基。大阪府は1万2338基で4番目とは意外でした。最も少ないのは鳥取県の1302基です。全国のLED化率は車両用が66.1%、歩行者用が60.7%となっています。
ちなみに、信号機の電気代を払っているのは各都道府県の警察だそうです。

交通の安全を支える電気工事

電飾看板の電球がところどころ切れていたり、店名のネオンサインが一文字消えていたりするのはよく見かけますが、信号機の光が消えているのは見たことがないですよね。もう切れかかっている弱々しい光の青信号なんて危なくてしょうがありません。
信号機が24時間365日、正しく美しく発光しているのは、電球やLEDの寿命が来る前に交換されているからに他なりません。当然、交通量の少ない夜間などに作業が行われています。通常は半年から1年に1回程度の交換だそうですが、数が多いだけに大変な労力でしょう。
信号機に関わる工事全般のことを交通信号設備工事といい、通常、警察からの依頼を受けて電気工事会社などが行います。電気だけでなく通信、土木、交通等の幅広い知識と技術が必要な分野であり、「交通信号工事士」といった専門的な資格もあります。交通の安全を陰で支えるのも電気工事の役割なのです。